SCHOOL IN PROGRESS SEMINAR01.LIVING.MAKING.TOTTORI.2015.




STATEMENT










mamoru   サウンド・アーティスト|SCHOOL IN PROGRESS共同ディレクター


とある興味が立上がり、何かを知ろうと思いたつ。まずはサクッと検索、スクロール、ふと気づくとキーワードの様なものがすでにあって、それを手がかりに、当たりを付ける。幾つかのページに目を通す。未だに手がかり以上の尺度は無いまま、情報を拾う。ん? 何かひっかかる、そんな場合はブックマークに放り込むかもしれない。これは2015年時点の日常で、とある興味がたどる、ありがちな初期動作の1つ。もちろん他にたくさんの動き方があって、その可能性そのものへの関心が今回の「SCHOOL IN PROGRESS」の原動力。参加者はアーティストが持ち込んだ関心事を見聞きするだけでなく、僕たちとともに調べたり、考えたり、書いたり、歩いたり、寄り道したり、話したり、飛んだりしながら、探ってみたいと思っている。




山本高之   ビジュアル・アーティスト|SCHOOL IN PROGRESS共同ディレクター


今までに誰も食べたことのない美味しい料理を新しく作るためには、どうしたらいいのでしょうか。新しい素材を探す?新しい組み合わせを探す?それとも使い古された食材の新しい調理法を見つける?答えは、何が美味しいかを知ることです。美味しさの基準を自分の中に持つことです。この度鳥取で僕らがやろうとするのは、誰も食べたことがない素材をリスクを冒しつつとりあえず食べてみること。フグのどこに毒があるのか分かる前に死んでいった過去のたくさんの食の冒険者への尊敬を胸に。




人の営みの根源を知る 新しい滞在型アートスクール

本講座は、「living/暮らす」と「making/つくる」という人の営みのもっとも根源的な行為をキーワードに、フィールドワークやワークショップといった実践を通して、体験し、思考を深め、新たな知を獲得するプログラムです。「すべての人が芸術家である」と言ったヨゼフ・ボイスは、人々の営みが社会をつくりあげていることを「アート」として提示しましたが、それは個人個人の営みの中にある創造性によって支えられてこそ可能となるものです。この創造性は、さまざまな未知の経験を乗り越えることで人々が得た洞察力や直感力、想像力といったものの総合として、日常生活のあらゆる場面において発揮されています。
この新しい学校では、アーティストとともに既にあるものや普段の生活・日常を見つめ直し、創造性の在処を見つけ、それを自らの内に育む力を身につけることを目標としています。その力を持ち得たそれぞれの個人が、新しい足場から眺望し、世界と向き合いながら__________ために、共に学ぶ機会としたいと思います。







夕   集合

夜   Orientation
オリエンテーション


18:00-19:15 旧横田医院,参加人数:16名


1週間以上をともに過ごすことになる集中実践コース生、ディレクター、スタッフがそれぞれに自己紹介。その後ディレクターとチューターによるスクールについてのオリエンテーションを行った。mamoruによるリスニングのワークショップもあった。その後、ウェルカムパーティ@韓国焼肉トントン。若手アーティスト、芸大生、アート系専攻ではない大学生、社会人などなど年齢も背景も様々な参加者達が鳥取だけでなく、全国各地から集まってきた。講師陣にしても実際に顔を合わせるのは久しぶり。期待と不安入り交じる。












































朝   Program 1-1
mamoru × 新家憲一郎
風を知るために:ヨット編①

昼・夕 Program 1-2
mamoru × 三宅航太郎
風を知るためのレクチャーとリサーチ

夜   Night Program
夜の散歩



Program 1|風を知るために

身近だけれど、目には見えない、いろいろな文化で詩的に扱われることも多く、実のところ壮大な地球規模の大気現象の一部でもある、風。耳をすますと、どこからか吹いてきて何かしらの音を奏でたりする。そんな風を知るために、鳥取の山に登り風の道を見る、海に出てヨットのことを教わり、砂丘からパラグライダーで飛んでみたいと思います。

Night Program|夜の散歩

昼間とは異なる様相を見せる夜の街を歩きます。歩きながら考えたこと、夜に考えたことは、どこに辿りつくのでしょう。行動と思考、休息のための静かな実験です。


09:00-11:00 賀露海岸,17名


快晴。前年、mamoruが鳥取での滞在制作の折、風のリサーチとして初めてヨットに乗ったことをきっかけに、今回はスクールの特別講師として参加いただくことになったヨットセイラーの新家憲一郎さんが軽トラックにヨットを載せ海辺で待っていて下さった。新家さんの父は「レジェンド」と呼ばれ、ヨットセイラーの間では知られた存在で、その父の影響から新家さんは小学校3年生から小型ヨットにのり始めた。その後2012年にはトッパ―級の日本選手権で優勝、世界選手権でも日本人歴代最高位の16位を獲得している。ヨットはボートやカヌーと異なり、帆に受ける風を推進力に進むため、ジグザグとして航路をとりながら目的地点を目指す競技。従って「風を読むこと」が勝敗を分ける。季節や天気、気温、時間によって常に変わっていく風の動きをいかに予測し、つかまえるか。初めて近くで見るヨットに少しテンションが上がった様子の参加者たちにとっては初めて聞く話ばかりで、さまざまな質問が飛び交う。ほどなくしてmamoruと新家がふたりでヨットに乗り、沖へ向かった。その様子や聞こえたもの感じたことを参加者たちはノートに書き留めた。

13:00-18:00 鳥取市街地&久松山,17名


ことめやを出発地点とし、久松山を目指して参加者全員で歩いた。歩いている中では各自気付いたこと・感じたことをメモしていく。頂上へ着くと鳥取市内を見渡すことができた。しばらく休憩をした後、頂上の草地に座り、地形から読み解く風の話をmamoruが作品紹介を交えつつパフォーマンス風に語った。登山途中にリスニングしてきたことで研ぎ澄まされた感覚により、参加者は一段と風と想像の世界へ引き込まれている様子であった。

20:30-22:00 鳥取市街地,17名


夕食後はチューターの佐々瞬さんによるプログラム。一人ひとりが鳥取市街地を歩きながら悩みやその時に頭に浮かぶことに考えを巡らせる。そして頭に浮かんだことは言葉に出し、ボイスレコーダーに録音をする。出発前には地図が渡されるのだが、どのようなルートで歩くのかについては各自に任されている。また、時間、ゴールの場所も決まっていない。
































































































































朝・昼 Program 2-1
山本高之
企業と一般社会との(良好な)関係:PRについて
リサーチ・バス・ツアー

夕   Program 3-1
山本高之
愛の言葉−口説きの作法:車の場合

夜   Night Program
振り返る時間:リサーチ・バス・ツアー



Program 2|企業と一般社会との(良好な)関係:PRについて

PR=Public Relationsとは、元来企業や官庁などの組織体が、その活動や商品などを広く知らせ、多くの人(Public)の理解を高めるために行う宣伝広告活動のことを言います。それらの主体は、僕ら(公衆)とどのような関係を望んでいるのでしょうか。このプログラムではさまざまな展示館を訪問し、組織体と一般社会・公衆との良好な関係について考えてみます。

Program 3|愛の言葉 口説きの作法

自動車のような高価な買い物は一生のうちでそんなにするものではありません。いかなる理由で「その」車に決めるのか。売る側はどうやって「それ」を選んでもらおうとするのか……愛とその誘惑の作法をリサーチします。


9:00-15:15 バス・ツアー,17名


リサーチ・バス・ツアーという形ではじまった2日目。参加者全員でマイクロバスに乗り、遠足気分で向かった先はかつてウランが採取されていた岡山県と鳥取県の県境の人形峠にある体験型学習施設アトムサイエンス館。バスの中では山本からバスツアーの主旨が語られた。その後、mamoruがパラグライダー体験の話をしたり、参加者もそれぞれ5分程度で自分自身についての話をする時間が設けられ、移動時間も有意義な時間となった。人形峠へ到着後、まずはアトムサイエンス館へ行きウラン鉱山を見学した。施設の職員の方に案内をしていただき、1時間ほど原子力発電についてのレクチャーも受けた。昼食を食べた後、人形峠資料館、上斎原スペースガードセンターも含め各自で見学をし、どのような展示がなされているのかリサーチを行なった。レクチャー中も質問し、その後も反芻しつつ「PR」とは何か・・・について実地調査した。鳥取市内へ帰る途中ではウラン鉱山が地面に埋められているというキュリー広場で記念撮影。

15:30-18:00 車のディーラー,17名


その後息つく間もなく、13日に予定されていたProgram 3のリサーチ部分を前倒して参加者とスタッフは、4グループ(1グループにつき4人程度)に分かれ、4社の車販売ディーラーへセールストークのリサーチに向かった。リサーチは受講生が実際に車を買いに行った、という設定で行なわれ、事前に趣旨は伝えてあるもののディーラーの方々にはいつものように販売の対応をしてもらう。グループによっては試乗までしているところもあった。

20:30-22:00 バー,17名


夕食後のNight Programは参加者の宿であるゲストハウスの階上にあるバーにて行われ、日中訪れたアトムサイエンス館、原燃の職員の方から聞いた話の内容が衝撃的で、そのための消化時間を持つほうが良いだろうという判断から、当初予定していたクロストークを大幅変更し皆がそれぞれに受けた印象などを語り振り返る時間となった。




















































































































朝・昼・夕 Personal Practice
mamoru・佐々瞬
リサーチの時間

夜     Night Program
佐々瞬
夜の散歩


09:00-18:00


朝、mamoruは再びヨットを使った風の追加リサーチのため一部のスタッフと海へ。昼からは佐々瞬によるワークショップの時間。参加者達は佐々瞬のワークショップ、夜の散歩2に向けての準備を行った。初日に実施した夜の散歩で録音した音声を地図の中に書き起こす作業。どういうルートを辿り、どこでどのようなことを考えたのかを記し、その人だけの地図がつくり上げられていった。作業場所は指定されておらず、受講生によっては市街地を散策して見つけた場所で過ごした人もいた。

20:30-22:00 鳥取市街地・バー,18名


夕食後、参加者達は自分ではない他の誰かが制作した地図、音声を持ち、その地図にそって音声を聞きながら市街地を歩く。例のごとくNight Programは臨機応変に変更され散歩を終了した参加者がバーに集合し、感想、意見をシェアする場になった。自分の体験がどのようなものだったのかについて、その他にも人によって地図が大きく違うことについて話は盛り上がった。
















































































朝   Personal Practice
山本高之
ディーラーになってみる練習

昼・夕 Discussion & Meeting
前半のまとめ&課題提示&課題について考える
ディレクターとの面接

夜   Night Program
体験コース生へ向けてのオリエンテーション準備


09:00-13:00 ことめや,16名


午前中のリサーチの時間では、車販売ディーラーを取材した経験のアウトプットとして山本が車の購入を検討中の客、各グループがディーラーという設定のセールス寸劇として翌日発表される事が参加者たちに告げられる。早速、各班メモやビデオを見返しながら、ディーラーを真似るだけではなく、実際に山本が欲しくなるようなセールストークの工夫を打ち合わせ練習を行った。ユーモアを利かしつつ、考え、悩みながら、アイデアを出しあう。

13:00-18:00 旧横田医院・ことめや,16名


午後からは、翌日から合流する体験コース生へ向けて集中実践コース生がオリエンテーションを行なうというディレクターからの説明があった。これは当初予定に無かった内容だが、ディレクター二人がプログラム初日から頭を悩ませていた全参加組と後半組という2つのグループの温度差をどう扱うか、という課題から生まれたアイデアであった。言葉であれこれ説明するよりも体験的にスクールの雰囲気にどう巻き込むのか。悩んだあげくスクールのエッセンスを一番に体験している他でもない全参加中の集中実践コース組へのグループ課題としてプログラムを考えることをチャレンジ。たった3日とは言え相当に濃厚な時間を過ごしてきた集中実践コース組はいかに彼らの経験をプレゼンテーションできるのか。各自がおのおのやってみたいアイデアを考えるように促されたあと、受講生は山本・mamoruディレクターとの個別の面談・ヒアリングを行い、その場で生まれてきたアイデアをどう具現化するのかを相談する。ディレクター達のちょっとした修正、テコ入れ、後押しが加えられやるべきことを明確にしていく。

20:30- ことめや,17名


面談後、受講生それぞれが考え出したアイデアをいまいちど整理・検討したディレクター人が受講生とオリエンテーションの全体像を共有する。その後は受講生のみに全てを託し、それらのアイデアをもとにどのような内容・形式にするのか打ち合わせ・準備を行なった。アイデアを組み合わせたり、発展させたりしながら、遅い時間まで真剣に準備を進めていた。突然の課題だったが、受講生はこれまでのスクールの様子をより実感を持って伝えられるように考えを巡らせ、受講生による新たな受講生のためのオリエンテーションプログラムが企画されていく。まさにSchool in Progress!








































































































朝   Orientation
集中実践コース生による体験コース生のためのオリエンテーション

昼   Program 3-2
山本高之
愛の言葉−口説きの作法:車の場合

夕   Program 1-3
mamoru × 新家憲一郎
風を知るために:ヨット編②

夜   Program 1-4
mamoru × 新家憲一郎
トーク「風を知る」


10:00-12:00 旧横田医院,22名


到着した体験コース組は前日より受講生主体で準備されてきた「オリエンテーション」を旧横田医院にて体験する。旧横田医院内を回遊する形式で行なわれ、これまでの経験をラップにして歌う部屋、風のメモを真っ暗な部屋で朗読する部屋、久松山を登る疑似体験を行なう部屋などで、説明的な言葉を排し、ノリや雰囲気で今まさに自分たちも体験中のスクール・イン・プログレスのエッセンスを想像力で共有するパフォーマンスのような試みがなされた。

13:00-14:30 旧横田医院・ことめや,23名


その後ことめやに会場を移し、集中実践コース組が2日目に行った車販売ディーラー取材と体験を元に準備した寸劇風プレゼンテーションが発表された。グループごとに実際に山本さんへ車を売る工夫がなされておいり、車で人を表わすグループや登場人物をディーラー以外にも設定するグループなど、いくつもの工夫がみられた。取材した際のディーラーのスタイル、要点を分析し体現する様は笑いあり、なるほどとうなるところありで見応え十分。

15:00-17:00 湖山池,25名


この日はさらにいつもにましてハイペースなプログラム。湖山池へ行き新家さん夫妻を講師に受講生全員がヨットに乗る。参加者たちはヨットに乗り込み、さんざん話をきいたり取材に同行してきた「風」を体験する。初めてのヨット体験に興奮し、話だけでは感じとることのできない風を自分自身の体で体感した。

18:00-20:30 夕食[BBQ] 湖山池,27名


夜は湖山池のほとりで、さわやかな風が吹き抜ける中、BBQパーティー。長い一日を労いつつ集中実践コース組も体験コース組も自然と打ち解けた。

20:30-22:00 湖山池ベース,29名


そのまま今回の風リサーチでお世話になったセーラーの新家さんとmamoruのトークセッションを行った。新家さんがこれまでヨットで体験してきた話などを聞き、自らの体験でより身近になった風とヨットのさらに深い話を聞く時間になった。




























































































































































































朝   Program 1-5
mamoru × 市川正
風を知るために:パラグライダー編

昼   Program in Progress
進行形のプログラム

夕   Special Program
白川昌生
暮らすこととつくることの話を聞く

夜   Talk on the Roof
mamoru × 新家憲一郎
トーク「風を知る」



Special Program|暮らすこととつくることの話を聞く

地域コミュニティでのアート活動の第一人者であり、数々の著書・論考により作家が生きる社会、経済、思想について世に問うて来たアーティスト・白川昌生さんをお迎えし、「 暮らすこと」と「つくること 」にいかに向き合って来られたのかをお聞きします。

Talk on the Roof|屋上トーク

「アートはなぜ/どこに/どうやって生まれるのかについて+興味をもつことについて」アート、そして創造性の在処を巡って、夜空を眺めながら一夜を語り明かしましょう。


9:00-11:30 鳥取砂丘,20名


前日のヨット体験に引き続き、風リサーチもいよいよクライマックスのパラグライダー体験@鳥取砂丘。気象条件も良く市川正さんと砂丘本舗の方々の指導と協力のもと、砂丘の一番高いところから海の方向へ向かって参加者は次々に自ら飛んでいく。気象条件も良く、想像以上の感動と楽しさを味わうことができた参加者達は、着地したところからパラグライダーをまとめ砂地を歩いて頂上に戻り、体力と時間が続く限り風をとらえていく。風のリサーチはスクール開始からやってきため、感じるだけでなく、飛行しながら、体験的に何かを知るという経験もできたと思う。

13:00-15:50 ことめや,20名


予想以上の興奮にリフレッシュされたところで、最終日に行なう受講生の発表についてディレクターから説明があった。参加者による「オープンキャンパス」。実のところディレクター陣は期間中ずっと夜な夜な最終課題に関して意見を交わし続けていたのだが、プログラムを一通りやってきて、特に集中実践コース組が体験コース組を迎える際に感じたポテンシャルにも後押しされ最終課題は決定した。短期合宿型の濃厚なプログラムをパブリック・イベントにくる人たちにどう伝えるのか、何を体験してもらうのか、スクールらしさとは何(だったの)か?自らの体験を振り返りつつアウトプットするというチャレンジ。どのような方法・形式をとるのかや開催場所については指定されず、基本的には受講生に全て任せられることになった。参加者たちは全員で相談したり、それぞれの持場や企画を担当したりしつつ、数日間の疲労とも戦いながら準備ははじまった。

16:00-18:00 SAKAE401,人数未確認


夕方からは特別講師の白川さんのこれまた濃密なアーティスト・トーク。鳥取大学の小泉先生を聞き手に、白川さんのこれまでの活動・作品について。作品をつくるとき、どこで、どのように考え、誰と行なうのか、さらにはアートをどのように捉えているのかが語られ、興味をもつこと、そこから生まれうる行動や表現について強烈な実例を目の当たりにした。ちなみにこの白川さんのトーク中にスクール期間通じてはじめて「アート」という単語が発せられた事は特筆しておくべきことだと思う。

20:00-22:00 旧横田医院 屋上,23名


日没後、旧横田医院の屋上から花火を眺めつつ白川さんを囲んで。堅い雰囲気はなく、質問や考えたことを投げかけながらお互いに話ができるような和やかな時間をもった。夕方に行なわれたトークからさらに発展したものとなり、受講生にとって有意義なものになった。

22:00-25:00 バー,23名


受講生の一人でもあり、倉吉に拠点を置きながら世界で活動しているバーレスクダンサー・チェリー・タイフーンによるバータイムも開催された。ディレクター、チューター、ゲスト、受講生がフランクな状態で話ができる時間となり、1対1でディレクターと受講生がじっくり対話をすることもでき、昼間とは違った良さがあった。
















































































































































































朝   Preparation
オープン・キャンパス準備

昼   Public Program
受講者による発表
「オープン・キャンパス」

夕   Special Program
ラウンド・テーブル
「リビング、メイキング _________ために」

夜   Closing Party
クロージングパーティー



Special Program|ラウンド・テーブル「リビング、メイキング _________ために」

一週間にわたるプログラムを通して気づいたこと、わかったこと、獲得したもの、達成したこと(あるいは、そうしなかったりできなかったものやこと)を共有したのち、受講者による成果発表をふまえ、本講座のテーマである「住むこと」と「つくること」の意義や意味について、全参加アーティストを含め、会場全体でディスカッションします。


8:00-12:00 旧横田医院・ことめや・SAKAE401,22名


午後からのオープンキャンパスに備えて朝からフル回転で準備が進む。発表で使用する道具を揃えたり、展示会場を設営したり、より多くの人へ向けて発信するために紙媒体のチラシの制作と配布、ツイッターアカウントを新たにつくり情報を発信することも行なわれた。にわかにお祭り当日のような雰囲気。

14:00-15:00 旧横田医院・ことめや・SAKAE401,人数未確認


受講生による発表は旧横田医院での展示、パフォーマンス、SAKAE401でのパフォーマンスを行ない、来場者は受付を行なった後に各自で会場を巡る形となった。「アルティメットスイカ割り」というパフォーマンスが用意されたり、写真、スクールを終えた感想を述べている受講生の音声、風見などが展示されるドキュメント展が催されたりした。準備時間が極端に限られている中で、スタッフやディレクター陣も当日になって全貌が知れるという状態ではあったが、当日オープンキャンパスに訪れた人たちも楽しげに時間を過ごしていた。

15:00-17:00 SAKAE401,人数未確認


全てのプログラムを終え、ディレクター、チューター、ゲストによるトークセッションを行った。プログラムの内容を説明しつつ、ディレクターが感じたことなどを伝えていった。途中では受講生も感想などを述べていた。

17:00-22:00 旧横田医院 庭,人数未確認


クロージングパーティーは旧横田医院の庭スペースを活用して行われ、ピザ窯フル稼働の中、受講生だけでなく、ラウンド・テーブルへの参加者も一緒になり、意見交換、交流を深める場となった。また最後は音楽を普段より大きなボリュームでかけ、皆で踊りつつ濃密な8日間を締めくくった。

22:00-25:00 バー,人数未確認


旧横田医院の庭からバーへ移動し、名残惜しみつつ、コンパクトな形で意見を交換したり、感想を述べ合ったりした。






















































































































































ラウンド・テーブル
「Living, Making, for__________」
日時:2015年8月16日15:00-17:00
会場:SAKAE401(鳥取大学サテライトキャンパス)

出演者:

赤=赤井あずみ (キュレーター、SiP プロデューサー)
山=山本高之(美術家、SiP共同ディレクター)
m=mamoru(サウンドアーティスト、SiP共同ディレクター)
佐=佐々瞬(美術家、チューター)
三=三宅航太郎(チューター、撮影担当)
白=白川昌生(美術家、特別講師)
小=小泉元宏(立教大学准教授、特別講師)
チェ=チェリー・タイフーン(バーレスクダンサー、チェリーズバー担当、1.5期生特別参加)
濱=濱祐斗(デザイナー、グラフィック担当、1期生特別参加)



赤 今回の学校は「オルタナティブなアートスクール」というような少し曖昧な言い方をしてきたのですが、まずディレクターのお二人にその仕組みというか、学校という制度とを使ってやってみたかったことというのはどういったものだったのかについてお伺いしたいと思います。構想された段階でどういうものを考えながらつくっていかれたのかについて、お話いただけますか。
山 美術大学とかでは「こういう先生についておいたほうがいいんじゃない」とか「あそこのギャラリーは...」とか、そういう下世話な話があったり、各々作品を作ること以外にいろいろ話したりするのが多かったりすると思うんですけど、この「学校」に参加した人たちの皆さんが作家になるわけではないと思うんです。どうだろうなあ。「スクール」っていったら、何がしかの何かを学ぶ、場所ではあるだろう。でも学ぶとは何かみたいな。ことを考えていくと、なかなかね。では何を教えられるか、「教えるー教えられる」という関係性とは何なんだろうね、っていうところまで一回さかのぼって考えたところから始まるんですよね。
m はい。僕の記憶が正しければ、鳥取に僕が最初のレジデンス・プログラムで来たときに、前々から学校的なことをやりたい、新しいインスティチューションを、既存の形でないものを作りたいなっていうのはなんかこう、本当にぶっちゃけて言うと、例えば芸大とか美大から、教えませんかとかオファーがあって、ないですけど、今後くる可能性が高いじゃないですか、多分。でもそういうアーティスト同士でどうする?みたいな。ちょろっと何人かには言ったと思うんですけど、僕も35を超えまして、いわゆる新人ラインみたいなのが世界的に35歳なんですね。作家の世界って。で、そこから先を死のミットキャリアといわれているゾーンがありまして、この40代50代、恐らく人間、動物的には一番仕事ができる。なんかいろいろつまってきて、出したいもの出して、コネクションが結構あるっていう時に、お金がない、っていう状態に陥るんですね。これを死のミッドキャリアと言います。これ覚えて帰ったほうがいいです(笑)。そこで、やっぱりこう、教職とかそういう仕事をすることになったりするわけです。それも全然いいんですけど、今の世界で、特にいろんな作品のタイプありますけど、調べてやるとか、山本さんみたいに各地の子どもを騙して作品をつくる、いや、子どもと一緒につくるんですけど、(プロジェクトによって)あちこち行かなきゃいけないんですよ。定職に就いちゃうと普通にそれって無理じゃないですか。別に就きたくないわけじゃないし、たぶん就けないわけでもないと思うんですよ。実際にやってないからはっきりはいえませんが。でも性格的にはあんまり向いてなくて。では死のミッドキャリアで死ぬのかっていうと、それはちょっと違うんじゃないか。じゃあ、行った先に学校があれば、いいんじゃないか、と考えたわけです。それをここでやろうということではなかったんですが。そんな話聞きましたよね。レジデンスが終わる頃に山本さんがちょうど遊びに来てくれて、そこらへんで飲みながら「やりたいっすよね」っていう全く具体的なイメージもないままに、「ああいいじゃん、やろう、やろう、やろう」って言って決まったんですね。それがあの、僕のおぼろげな記憶ですけど。だったかなっていう。
山 そうですね。何をやろうか、それで、っていう話ですよね。
m 僕がオランダに戻ったりしてたんで、それから結構時間はちょっと空いたんですけど、話は流れたのかな、って思っていた頃に連絡がきました。
山 その時僕はニューヨークいましたね。
m 打ち合わせも、僕はオランダで、、、あの時、僕日本にいましたっけ?
山 アーティストは移動が多いんですよ。
m そうなんですよ。だからなんか短期決戦的な。もしかしたらこう、場所も変わっちゃってもいいんじゃないか。イメージとしてはね。今それを考えてるわけじゃないですけど、そういうフレキシブルな作家にやさしい、アーティストにやさしい、そういう学校。でもそれは生きてるアーティストって、まあ、なかなか、あっちこっち行ったりするし、忙しいし、出会う機会があまりないと思うんですけど、あちこちせっかく行ってるんだから、その行った先で何かできれば楽しいし、刺激も続くしなあ、みたいなそんな感じがありました。今何ができるんだ、っていうときに、鳥取っていうのは試す場としてはすごく環境も大学もあるし、つながりももともとあるし、まあここで思いついたことだし、っていうことで。
山 そうですね。
m はじまりのはじまり。
山 学校だからこれを学んで帰ってねっていうのもね。それがクリアになれば、すんごい楽なんですけどね、本当は。「学校」なので車の運転できるようになって帰ってください、とか、エクセルできるようになって帰れよ、だったら楽なんですよ。覚えられないところを教えてあげればいいんだから。そういうのでもないので、何を、どういうことができるんだろう、とか思いながらこんなプランを考えてみました。
白 いや今僕は話を聞いていて思ったのは、スクールということでは、僕はデュッセンブルクの美術学校に6年くらい、1年生のときから卒業してマイスターまでいましたけど、一応大学と呼ばれるところでしたが、授業はなかったですね。例えばゲルハルト・リヒターとか有名な先生たちがいたけど、どこのクラスもみんなそれぞれ絵を描いていたりしていて、教室に行くと月に一回そういう先生たちが来て、作品をぱっと見る。ドイツ人の作家の人ってほとんどいいとか悪いとかあんまり言わないんですよね。それで年末の最後に、例えば1年生から2年生にあがるときに、テストじゃなくて作品を提出して終わりなんですが、その最後のところで「だめだめだめ」とかって言ってくる。
会場 
m 先に言ってくれよ、みたいな。
白 言われちゃうんだよね。それでだいたいクラスの半分くらいが落第しちゃうんですよ。毎年半分ずつ落ちていくから、卒業するのはほんのわずかなんですよね、ドイツなんかは。まあそういうシステムになっていて、先生たちは「こういうのこうしなさい」って全然言わない。日本だと結構ね、すごく手取り足取りだから。正直なところ僕なんか友達で有名になった人とか作家とかドイツ人でたくさんいるけれど、おそらく石膏デッサンもできないような人がたくさんいますよ、本当に。でもそういう人が作家になれる。というか、まあ、求めてるところが違うというか。だからさっき山本さんが言ったみたいに何を教えるか、とかっていうのは、微妙に難しいなあと。
m 思ったとおりにやってみて、受かる、受かるというか、通るか落ちるか。年末まで分からない。
白 アートというか、こういう作業っていうのは方法論がきっちりあるわけじゃないので、ものすごくその辺はアバウトですね。無責任かもしれないけど。でもその分だけその人の何か、それを相互にっていうかお互いにっていうこともあるけど、自分でもこう、引っ張り出してくるみたいな、そういう作業(が必要で)、自分で自分の頭の中に手を突っ込んで、こう、何か引っ張り出してくる、みたいなことをしなきゃいけない。
山 国内の大学の仕組みだと、たぶん2、3年ぐらいから、芸大の子たちだってひょっとしたら、就職活動したりとか、デザインとかだとね、してたりするよね。アートを4年間みっちり学ぶっていう場所もなくなってきてるかもね。学校じゃない場所、バウハウスには、結構とんちんかんな授業がいっぱいありますよね。だから、どっちかっていうとその、アートはアーティストになるっていうよりも、アートについて学ぶ、アートって何だろうな、っていうところを、多分次に僕たちは考えるんでしょうね。別に最終的にアーティストになるわけじゃないから、アートにちょっと触れる、でも作品に触れるっていうよりも、アーティストのmamoruくんがどんな興味から世界を眺めてるのか、一回ちょっとやってみる。みんなで寄り添ってちょっとやってみる、とか。この人はここから何か作品をつくっていくんだろうなあ、っていう、途中だったり前段階の部分をみんなで少し見てみよう、覗いてみよう、っていう感じ。だから本当は企業秘密のところなんですよね。
m そうなんですよ。恥ずかしいんですよ、結構。まじで。ね。2人でちょっと、俺らばっかり損してる、とか言ってましたよね。みんな全然、「そんな何?」「えーっ」とかって思ったと思うんですけど。
m 出し惜しみはしなかったつもりだし、恥ずかしいことも言ったつもりだけど、何か、それがいいのかどうかはよく分からないままに、でも、こういうことがあってもいいかなっていうのを、気になったので、
山 そしてそれを学校と呼ぼう。結果として。
m はい。白川さんがおっしゃったように、いわゆる独学しないと、基本的には何でもそうだと思うんですけど、自分で学んでいかないと身にはつかない。まあ当たり前だと思うんですけど。でもそれをインスパイアされる場所っていうのは結構少なくて。呼ばれて、まあちょっと大学とか呼ばれていったときに、アーティストになりたいんですけどどうしたらいいですか?って聞かれた瞬間に、やめたほうがいいかもな、って正直思うじゃないですか。言ったほうがこの人のためになると思うから言うけど、でもじゃあここでお金をもらってる人たちは何を教えてんのかなあ、っていうと、月一回ぐらいしか来ない、話された環境のほうがよっぽど学べるのかもしれないし。そういうのは常々思うことはあったんですよ。でも忙しいし、なかなかそんなチャンスもないし、まあ、なんかでもね。そういうのがこう、山本さんの場合特に、先生もやってたから、教えるとか特に。
山 教える教えられる、みたいな。「生徒からいっぱい教わってます!」「俺らのほうが学ぶこと多いです」って言えばいいんだよね。最後にね(笑)。(そうすると)「いい先生だ!」みたいに言われる。それを先生は最後に言えばいいんですよ。なんだろうな。。。学校って。美術学校で、しかもこんな短期間で、不特定多数の人が来てるっていうときにどんな学校が可能なのかな、と考えた。まず盛りだくさんだったんですよね。今日初めて来た方に説明すると。mamoruくんは自分のリサーチを粛々とやっている。ちょっとずつ、mamoruくんが、「これが風」とか言って、空から飛んでみたり、ボートでふわーっと行ってみたりするのを、ちょっとお前らもやってみろ、ぐらいの、一貫してそんなかんじ。
m あの、一日目に早速集まってもらって、8時45分に集合して、それで賀露海岸っていうところに行って、「ヨットをまず、やります」と言っても、やるのは僕だけなんですよ。僕はもう気合入ってるし、全然楽しいし、前の晩からウキウキしてるし、「天気いいなあ」「もうちょっとしっかり水着持ってきなよって言っときゃよかったなあ」という状態。一方みんなは「これどうなるのかな」と思ってただろうけど、悪いほうの予想通り、「あっ海岸で待たされるんだな」と気づく(笑)。僕もそこは不安ではあったんですよ。ただそんなこともあってもいいかなと思って、その時にストレスになって「こんな、いきなりこんなほったらかしでやってられません」って怒る人がいてもいいかもしれないし、それで僕に対して「何なんだあの人、自分だけ」と思ったり。2時間ぐらいやってました僕?1時間半ぐらい?えっ、そのくらい? 佐々くんもその時点ではどっちかっていうと、「何なんだよあの人」って言ってたよね。
佐 まあ、そうっすね、なんか。あっ、そういうかんじねーみたいな。
山 ヨット乗って楽しい俺、みたいなやつよね。
佐 と思って、砂浜の奥の方に一人で走っていって、ちょっと熱中症になって帰ってくる、みたいな。
会場 
m その熱中症の恨みが俺に乗っかるみたいなかんじになって、、、、あれなんか佐々君、機嫌悪いなあ、、、まっ、そうだよね。
山 みんなもそうだった。ちょっと機嫌悪かった。
m そう。でも一人ぐらい海に入ってて、ああ良かったなあ、分かってる人もいると思った。いろんな興味の持ち方があると思うんですけど、その時に、大人なのに、しかも私たち受講生で来ているのにそれをほったらかしてまでやりたいヨットって、あの人にとってなんだろう。
山 そこまで考えさせる?
m そうなんですよね。そういうインプットだったんですよね。一個ばらしておくと。ひどいなと思うと、何がひどいのかなって分析してほしかったんですよね、はい。多分。でももしかしたら誰かは、その時に、あまりにも暇で、ここの浜はどういうところなんだろうとか、まわりにいるお客さんを観察したりとか。強制的にではないけど、あまりにもこれどうしたらいいのか、っていう時間をどう使うのか。そこでもうなんかふてくされて、ただ暑い中、みんな影にも入んねえんだなあと見てたんですけど、影がなかったんですよね。すみません。僕もあれ初めてなとこだったんで、影ぐらいあると思ってたんですけど。
山 下見しとかんと。
m でもそこでさっき言ったなんか、独学っていうか、なんか待たされてただ嫌なかんじで終わるのはいやだから、拾ってやろう、石とか積んでやろう、隣にいる人とちょっと仲良くする時間にしよう、とか。でもそういうところにクリエイティビティって働くと思うんですよ、なんか。じゃないですか?
山 ものはいいようですね。
m はい(笑)。僕の最初の言い訳終わります。
山 ものはいいよう。
佐 ものはいいよう。
m ものはいいよう。
山 いろんなね、見え方がするよっていうことですよね。
m ありがとうございます。
山 そらから夜の散歩がありました。三宅君とその後しゃべったんだっけ。
佐 これ喋んなかったっすよね。
山 喋んなかったすよね。
三 喋んなかった。喋んなかったですね。
会場 
山 からの、夜の散歩?
佐 今から通していくみたいなかんじですか?
山 振り返り。だから、サクッと振り返ろうかなと思います。なんだったのかな、っていう答え合わせ。答えなんてものはないんですけど。
佐 「夜の散歩」はさらに「夜の散歩2」と称して2日間にわたってやりました。
山 なんだったんですか、あの授業は。歩いたりして?
佐 みなさんで自分の声を吹き込みながら、宿泊していた「ことめや」というところを集合地点として、ふらふらふらっと好きなことを喋りながら、自分で考えたことっていうのを喋りながら好きなところに歩いて行ってください、終わりは自分で決めていいです、というものが1日目にやりました。1日空けて2日目は、自分が歩いたところを自分の声を聞きながら、地図に落とし込んでいく。どこを歩き、何を考えてたのか、何を言ってたのか。まあ、何も言ってない時間に何を考えたのか、みたいなことを含めて。
山 それが2日目。
佐 はい、それで今度は他の人の地図と音声を持って、聞きながら、見ながら、歩くことをやりました。
山 成果発表の会場に(地図が)展示してあったよね?
佐 1枚展示してあったかな。
山 ぶつぶつ喋りながら歩いて、その歩いたルートをマップに落とし込んで、マップをみながら誰か他の人がぶつぶつしてた録音を聞きながら、もう一回歩く、っていうのをやったんだよね。
佐 そうです、そうです。
佐 実は、この時間に何をやるかについて、僕はぎりぎりまで考えてやってたんですけど。結構強烈なことが日々起きていって、日中はこんなに暑い。さらに鳥取でっていうのもあって。しかもみんなで集団で移動するっていうふうになったので、ひとりで、自分で考えることそのもの自体を考えるっていう場を、それは普段自分が夜の散歩でやってることでもあるんですけど、そういう時間が作れたらいいなと思ってやりました。実際喋ってみたりすると、自分が考えてることって言語化するとこんなもんなんだ、とかいうことがもう結構さくっとばれるっていうのが、僕の夜の散歩の経験でわかっていました。僕なんか普段酔っ払ってるから、もっとひどくて。えっえっ、とか言ったり、喋ることがなくなると、見たものただ言うだけになってきたりね。
m ちなみにその録音はいつ聞きなおすの?次の日とかに聞きなおすの?
佐 そうそう、どこかへ行くときとかだったらそうなります。でも、まあ普通にストックしてるだけなんです。それがひょっこり作品に召喚されることも、あります。
山 くらっー。くらーい。
m 何も言ってないっす。
佐 何っすか!?
m 何もないっす。
佐 根暗って言ったんすか?
m いや言ってないっす。言ってないっす。
会場 
佐 だから、人の電話とかも結構録音したりとかするんすよ。
会場 
佐 録音しがち。
会場 
山 やばいやつだね。
m けっこう引いたよ。
佐 だって今だって録音してるし。一緒ですよだから。特にあんまり裏も表もないですし。
m 電話を勝手に録音するのは…
佐 違うよね?
山 そういえば、あのシンガポールで見た作品も、彼女とね、仲良くね。
佐 そうですね、あれも盗撮。
山 イチャついてるかんじの盗撮してますよね。
佐 ちょっと引いた、俯瞰してみてるいちゃつきみたいな。(沈黙)まあそれは、僕のことなんで。
会場 
山 みんな一人ひとりが楽しんでるくらい、だけ、だったもんね、夜の散歩。
佐 そうなんっすよね。
m 夜の散歩が結構楽しかったっていう受講生、手挙げてって言おうと思ったんだけど、結構軒並みいけるかな、って思って。
山 ちょっとこわーいってやつね。そういうのか。
佐 そういうのです。でも、実は、なんか気持ち悪かったりすると思うんですけど、一方で、なんていうんですかね。内容ももちろんあるし、そこにどういう感情があるかっていうのもあるんだけど、もうちょっと植物的にというか、何を考えてるのか、何を受け取ったのか、っていうことと、それが言葉としてどうやって変換できるのかっていうことって、全然スムーズにつながらない部分で。それっていうのを録ってもらったと思うんですけど、そこに一体何をもって書いてるのかっていうことが、そもそもまず、自分の体の中で起きてますっていう、というか、起きがちっていうのを体験する。そんなに深く考えるというよりも、人がどうなってるのか見ながらできたらいいなあ、と思ってやったプログラムでした。
m 結構でもこれはあの、肝だったですよね。全部をこう、貫いていく要素を生み出してくれたなと、思って。
山 これに参加してるのは自分です、っていうのをもう一回再確認できるっていうか。
m 結構インプットの連続じゃない、もう、1日目も2日目もこれやってあれやってここ行って、あそこ行って。で、しかも何か、アートのアの字も出てこないですし。
山 出てこない。
m 日程の中頃に受講生との面談があったんですけど、「こういうところに来たんだっけ」「どこに来たんだろう私は」みたいな宙吊り感覚みたいな話が、ちょいちょい出てましたけど。ま、それを、消化できないまでも一人で考える時間となった。
佐 それはよかったですね。ただ、実際何が起きたかは分かってないんですよ。僕は歩いてないし。シャッフルしただけだから。実際はよく分かってない、っていうのも、言っておきたいなと。
m いや面談で結構ねえ。
山 うん
m みんな、あれがよかった、っていう。
佐 あーあ。
山 みんな明らかに夜の散歩大人気だったっすね。
佐 大人気だったんすね。イェーイ。
m 途中で、ちょうど折り返し地点で面談があって、僕と山本さんが、一人ひとり。
山 職員室呼び出してね。
m そうなんすよ。そん時に、あれがよかったです。何がよかったの?みたいな話を聞くと、まあ、伝わってるような、伝わってないような。
山 だよねー。
m あ、言うの忘れてた。
山 よかったねー。
佐 そんなかんじでした。
m えーっと、まあ、その、僕が「風を知るために」っていう要素を提案して、やりたかったからやって、みんなもやったらいいじゃん、と思って。で、山本さんは、その、まあ実質2日目なんですけど、8月11日はマックス山本Dayでした。
山 スーパー山本Dayだったんですけど、もともと2つに分けてたんだけど、お盆だったので調整が難しくてこの日に両方やらなきゃってなったんですよね。だから、1.5期生が加わってからどちらかをやるっていうふうに思ってたんですけど、やれなくなっちゃって。ひとつめは鳥取と岡山の県境にある人形峠に行きました。そこのウラン鉱山跡地にいろんな施設ができてて、もう跡地だから何もやってないのかなあ、と思ったら、意外とまだ何かいろんなものが稼動していて、その敷地の中にある元鉱道やPRセンターという場所を訪問しました。その建物には「教育棟」って書いてあったね。そこで、ブラックライトで照らしたら光る石とか。あれもたぶん、あの、あれをね、塗ってるなこれ。
m 蛍光塗料ね。
山 蛍光塗料塗ってるな、っていう感じのものがあった。
m 山本さんの見解です。
山 はい。これはあくまでも、僕の個人的な見解なんですけど、ここ鉱山でもないな、と思いましたね。鉱山に空気とかを運ぶ空調用のなんか横のところみたいなところに入ってって、仰々しくヘルメット被ったりとかして。
m しかもバスで移動するんですよね。
山 そうそうそう、中では自由に歩いたりできない。施設内に入るときに「ここには日本人しかいませんよね」って確認されて、それぞれの住所、氏名、年齢全部そこにお知らせして、身分証明証見せて、ヘルメットを被って、その鉱山に入りました。ヘルメットがちょっと頭高いので、そのヘルメットで頭ぶつけてる人が何人かいて、ね(笑)。
m そうっすね。
山 あれなかったらぶつかんなかったねーっていう話を。で、その入口のところに、アルミのパイプがぽんぽんぽんってあって、そこに木が生えてる。なんかなんとか草って。
m 常緑麒麟草です。
山 常緑麒麟草っていうその新種みたいなのがあって、それ食べれますよーみたいなこと言われて、そうですかーってmamoruくん食べたの。苦いですね、みたいな。
m ほんとに食べれるんですか?っつったら、もうなんかこう、目に力が入った状態で食べられますって言うから、じゃあ食べてやろうって思って食べたら速攻腹をこわしました。
山 それなんか、遠心分離機っていう、核物質をなんとかするようなやつの、再利用らしいんですよね。そのアルミのパイプは。
m で、完全に洗浄されてるっていうのが売りなんですよ。だから、常緑麒麟草も育つっていう。
山 そうなんですよね。90何パーセントはきれいにできます、っていう話だったんですけど、 100%じゃない。
m ねえ。
山 まあそんな場所に見に行って、いろんなその、そこで僕が見たかったのがね、あの、青森のほうに十カ所、あっ、六ヵ所か。
佐 六ヵ所。
山 六ヵ所何とかセンターみたいなところに行ってみたりとか、陸奥何とかセンターみたいな。陸奥って原子力の船が壊れちゃって、帰りたいよーってなってたけど、こんなのやだよーって、帰れなかったんですよ。で日本中ぐるぐるぐるぐる回っていた船があって、じゃあここで停まっとけーっつて停まってた場所が博物館、資料館みたいになってるのかな。そういうのがあったり、六ヶ所村の再処理工場みたいなところにもPRセンターがあったりだとか、そういう場所を以前見に行ったとき、ほんとに展示物に対する愛がないなと感じたんですよね。下請けがやっつけでつくったみたいな感じがして、やばいぜもう、「原子力発電?すんげえいんだよねー」みたいに、なにか欲望みたいに「みんなこんなにいいんだからやろうよ」っていうのをPRしてるのかと思ったら(そうではなかった)。それだったらそれでなんかちょっと、いい悪いは置いといて、すげーと思えるじゃん。実際は結構やっつけな感じがした。請負の代理店仕事です、みたいに、愛せない展示だったんです。それが美術の展示と違うな、違うんだけど、どう違うのかまだわかんないなあっていう思いがあった。それで今回、鳥取にも六ヶ所村のPRセンターのような施設があるようだったので、行こうと思いました。現在は閉館しているるところを予約して開けてもらったんですけど、思いのほか担当者が語ってくれましてですね、小一時間くらいいろんな話をしてくれました。その話はまた受講生の人に聞いたほうがいいよね。またあとでね。こんな話だったんだよね。あんな話だったんですよ。それはへーなんですよ。帰ってきたのが午前中。実は30分遅れてきた子がいて、ちょっと押しになっちゃったんですけど。
会場 
山 よかった間に合って、って言ったんだよね、あいつね。
m 本人は、今日は間に合ってよかったです、言ってたんです。
山 待ってたんです、30分ぐらい。
会場 
佐 間に合ってなかったですねー。
山 間に合ってなかったですよ。全然間に合ってないです。で、後半戦にやったのは、いろんなディーラーさんにご協力をいただきましてですね、レクサス、ヤナセ、スバル、ヨトヨタ。4つのディーラーにみんなでグループ分けして、何か車を買いたいという設定で行って、営業トークをリサーチしてもらいました。受講生にはそのそれぞれの会社の社員になって、僕に営業するんです。実際僕が「最近ちょっと車10年くらい乗って、もうそろそろ買い替えかなあ、窓も開かなくなっちゃったなあ」という状況があったので、どの車を買おうかなあ、っていうのをみんなにちょっとこう聞いてきてっていうことから考えた。結果、断然レクサスに乗りたくなりましたけどね。
m ほー。それはちょっと、初耳ですよね。
山 はい。スバルもいいかなあ、うんうん…そうです。いろいろ全部いいですね…。
m (笑)
山 その、要するに、いろんな企業のね、企業によって売り込み方が違っていて、トヨタだと家電っぽいかんじで売るとか、スバルだったら走りだよとか、レクサスだったら塗装が違います、みたいなね。あと15万払うと、もっとピカピカになりますよ、みたいなことを言ってたりとか。おもしろかったですね。
m 最終的に行った先の営業方法だったりとか営業スタイルだとかを吸収して、山本さんに、何日後でしたかね、2日後に車を売りつけるっていうかたちのワークショップですよね。
山 そうです、そうです。
m そういう仕組みでしたよね。
山 そうそう、僕も普段忙しくてディーラーとか回ってらんないんで(笑)。
会場 
山 この機会にみなさんに下見とともに、できたらいいなと思ったんですけどね。でも、ベンツ何シリーズでしたっけ?Cでしたっけ?
佐 E?
山 Eですから、七百十何万円。普通には買えないですよね。シートが自動で動きますよ、とか。あと面白かったのは、レクサスには助手席に手鏡があるんだよね。これは隣に座ってる人がお化粧直しするように手鏡がついてるんです。スッて取れるようになっている。でもお化粧品持ってたらさ、容器をパカッて開けたら鏡ついてますよね。このシチュエーション何だ?っていうのが。でもそれが結構売りなんですよね。それを富士スピードウェイ研究所の人達に聞いてきた、っていう体で。
m レクサスカレッジ。
山 レクサスカレッジ。
m レクサスカレッジね。
山 そんな話だったよね。
m 最初の2日間はもう、インプットインプットインプットで。
山 だってもう2日しか経ってないのに、5つもやってますもんね。その後の夜のクロストークでも結構がっつり話したよね。
m もう記憶にないです。
会場 
山 がっつり話しましたね。
m それで実質3日目の8月12日には疲れも溜まってることもあり、といいつつ僕は朝、ボートに行ったんですけど。で、山本さんのその、ディーラーに行った経験を振り返ることを朝やったんですよね。この辺から結構、折り返しですね。僕らがもう「みんなどう?」っていうのをどんどん。
山 そうそう。(受講生にとっては)知らんがな、っていうことなんですよね。僕のその気持ちを表現するやり方を教えてもらおう。でもないから、俺こんなかんじなんだよね、ってとりあえず乗っかってきて、っていうのが今回の、作法っていうかねえ。で乗っかったものをどうしようかな、っていうので、午前中2日間は、ディーラーの営業の練習?
m そうですね。
山 リサーチと練習の時間になりました。午後からは、さっきの佐々君の「夜の散歩2」で、人の話をイヤフォンで聞きながら、また同じルートを歩くことをやりました。
m なんとなくこのあたりで、「何やるんだろう」って本当に(受講生達は)思ってたかなあと思うんですけど。こう、アップアップしながら、当然みたいにやってくるかんじ。この2人の興味が強いのは分かるけど、実際のところはなんだか、わかんない。「共感してんのかな俺」みたいな。「風、まだぴんと来ない」「私車って正直、興味ないです」みたいな(笑)。
山 そう「俺だってお前に興味ねえよ」っていう話ですよね。
m 僕はトヨタのチームと一緒にリサーチに行ったんですけど、ハイブリッドの説明でみんなが感心してるの聞いて、それ、そこ!?と思いながら撮影してました。そ、そこ?
山 20世紀、21世紀。
m そこ!?山本さんに対してそれはセールストークにはならないなあ、と思いながら(笑)。
山 かわいらしい、ですね。
m そうですねー。はい。
山 ほいで、ここまで淡々と進んで行くんですよね。で、この1期生が2泊3日コースの1.5期生と呼ばれることになった人達と合流するときに、どうしようかな、となった。オリエンテーションをもう一回ゼロからやって、みんなで自己紹介するということもあるだろうけど、それに2時間使うよりは、1期生がこの学校のことを紹介して、何を学んだのかを教えてあげる、ということに。つまり1.5期生にこの学校のことを説明するのを僕ら(先生たち)はしませんよ、っていう無茶振りをしたんですね。この日がすげえんだよな。とにかくこの8月14日は僕にとってちょっとトラウマっていうか。すごい日ですね、この2015年の8月14日っていうのは僕も一生忘れない。
m 前日の8月13日にね、その準備をやって下さい、っていう発表があって。
山 でも「僕らは知らないよー」って、バーでぐだぐだしてましたね。
会場 
山 チェリーズバーで、チェリーさんがいないバージョン。そうなんです。この日、運命の14日。決戦は金曜日8月14日。
m あ、ほんとだ。
山 そうですよね。この日何があったのか。最初の午前中、前半戦に1.5期生のチェリーさんにあの日一体何があったのかを聞いてみましょうか。
m なんでかっていうと、僕らは、その1.5期生へ向けたオリエンテーションは参加できてないんですよ。できてないっていうか、できなかった、うーん、しなかった。
佐 オリエンテーションで何が起きたかは、ディレクターの2人は見ていない。
山 一回聞いてみたいです。チェリーさんどうですか。
チェ えっと、1.5期生ということで2泊3日組みが最初から参加していた1期生に合流したとき、まず横田医院に集められて、1階の入口のところで、これから何をするかっていう話があるかと思ったら、あの、「俺たち何もやらないし」みたいなかんじでいきなりくるわけです。
m そのスタイルで集合させられてたんだ(笑)。
チェ で、あの、その「俺たち何もやらないし」ということだったんですが、ただその横田医院の建物の中をこれからご案内しますんで付いて来て下さい、って、1.5期生たちはさっぱり意味がわかんないまま連れていかれると、何かうっすら声が聞こえてきて、何とかだと思ったみたいな(笑)通過したときには聞こえるんですけど(笑)。
山 何言っとんだ(笑)。ドップラー効果みたいな?
チェ ドップラー効果というか、横田医院って円形なんですけど、何それって思ったら、廊下の真ん中に少女が立っていて、紙切れを読んでいる。
山 声が通んないんだよ。
チェ 声が、通らないから、前を通過した瞬間しか聞こえない(笑)。「私の体験は…」みたいな(笑)感じで、なんだか分かんないけど気になると、思ったら次に暗闇の部屋に押し込められて、めっちゃ狭くて真っ暗な部屋で、「私が体験した怖い話なんだけど」「ほんとにあれって怖いよね」みたいな、めっちゃ怖い話を聞かせてくるんですよ。守護霊的な話で、なんだか足元に人が横たわってるような妄想に捉われて。
山 ああ、分かる。怖い。
チェ 怖かったです。でも目は慣れてきて、外に出て行ったら、また次なる刺客が待っていました。その刺客が私たちを明るい部屋に案内してくれたんで一安心したら、いきなりちょっとこの紙切れをちょっと読んで下さい、って言って、何かsayhoみたいな。ヒップホップによって、俺たちが体験した体験を「何にもないならないで何か(ラップ)」みたいな。
会場 
チェ 私たちも練習させられて、ヒップホップが上達したら、今度はさらに上の階へ、どんどんとにかく、体内めぐりみたいに登らされて、今度は交換日記をしてくださいと言われました。その部屋で、「来てからここまでの体験を交換日記してください」ということだったので書きました。
m 1時間半ぐらいやったよね。着いてからね。
チェ そう、ついてから1時間半なのに、いきなり今日の日記を書かされて、あっ、その前にさらに不思議な部屋があって、それぞれの体験が、8月のオススメの本とかいう小部屋があって、なんかオススメの本とかいいながら、それぞれが体験した手記が、紙切れとかノートとかが置かれてて、何か分からないんだけど、何か切実な何かがあったっぽいんだよね、っていうのが伝わってきた(笑)。ヒップホップ、8月のオススメ書籍、日記を交換させられて、その後山に登った話をしてくれたら、横田医院の一番上に登っていく途中でほんとに山の挨拶みたいなかんじで、「暑いですねー」みたいな山の挨拶みたいなのがあって、「あっ、山かも」っていう気分に捉われたら屋上に行って、フレッシュなエアーを吸って、それでじゃあそろそろ帰りましょう、っていう瞬間に、何と12時の鐘がなったんですよ。で、すごいなんだか、どういう仕組みですか!っていうのが(笑)
会場 
チェ 奇跡が起きて、体内めぐりみたいだった、っていう感想です。
山 うさぎおいし〜だよね。てーてーてーてー♪だよね。
m メロディー
山 メロディーラインがある。
m っていうのがまあ。
山 それがまだ最初です。
m うん、受け手側のね。
山 企画した側にも。
m そうですね。まあ、今聞いちゃったけど、何が行われたかっていう、受け手側が何を受け取ったかさっき聞いちゃったけど、発信側は何を求めてたのか、っていうのはちょっと、聞きたいですよね。
佐 2人ぐらいに聞きましょうか。
受講生S とりあえずまず、先ほどおっしゃられたように一人ひとり面談があったんですよ。オリエンテーションで何をしたいかみたいなのがあって、それで一人ずつ私たちは案を考えて、一人ずつ行って、面談するんですけど、すぐに終わった。面談が終わってのんびり過ごしてたら、夜の9時半ぐらいでしたっけ、9時頃だったかに「じゃあこれから9人の案をまとめて、オリエンテーション何やるか考えて」と言われて、次の日の朝10時がオリエンテーションなんですよ(笑)。
山 そこで知ったんだ!
受講生S そう、そこで知ったんですよ。「9人の案をまとめてください、15分したら聞きに来るから」って言われました。そこでバンって(課題を)投げられて、「わあどうしようどうしようどうしようどうしよう」みたいになって、でまあ、当たり前に15分間じゃまとまらず、結構、最終的に何やるかもあんまり決まらないまま夜中の11時頃を向かえてそこから各自の準備。今(チェリーさんが)話された真っ暗の部屋の怖い話だったり、ラップの部屋っていうのは、各自が出した案を、こう、どうにかこうにかツアーとしてまとめようとした結果、そのごちゃごちゃしたものになってしまったんですよ。だけれども、何かその案っていうのは一人ひとりが前半の4日間の中で体験した思いだったり、体験だったりっていうのをどうにかものにしようとしていました。1.5期生の方たちにはとりあえずよく分からない、みたいなのを体験してほしかった(笑)。
m あとハイスピード感ね。
受講生S ハイスピード感(笑)。とりあえず、何かわかんないけど、こんなことやってる。一緒にやろうぜ、みたいなことをやりたかったです。もう完全に12時のチャイムは奇跡。
山 いやいや、でもね、アートの神様たまに微笑むよね。
会場 
山 頑張ると微笑むよ、あいつ。
佐 もう一人ぐらい、こいつにしゃべらしとこうみたいな。
受講生Q じゃあ、ラップやってもいいですか?校歌。
チェ ゆうちゃん紙切れ持ってない?
受講生Y ラップ?紙持ってないですね。
佐 でも頭に入ってるでしょ。
m できる範囲で。さすがみあきちゃん。紙持ってた。
佐 校歌斉唱。
m すばらしい。
山 校歌斉唱―(ラップっぽく)
m 校歌斉唱―(ラップっぽく)
数人 ギブミーエース
受講生Y ギブミーシー
会場 ギブミーシー
受講生Y ちょいちょいちょいちょいちょいちょいちょいちょいちょい
会場 
受講生Y 音読じゃないですか。
会場 音読(笑)。だめですか?一緒にやりたい。
佐 こないだ知ってる。30分やったでしょ。
m 巻きでお願いします。
受講生Y ギブミーエス。
会場 …ギブミーエス。
受講生Y じゃあ、ギブミーエスだけせーので言って、あとギブミーシー、ギブミーエイチ、ギブミーダブリューオー。覚えてるところお願いします。最初僕一人で。
会場 全部言ったほうが。
受講生Y ギブミーエス、ギブミーシー、ギブミーエイチ、ギブミーダブリューオー。ギブミー  オブトットリ、トゥトゥリ、まだ途中、…的なラップです。
会場 
m やってる間に一つ、もう一つ間をつないでおくと、交換日記というのがすごく不思議な要素としてあったんですよね。あの、2分で。
受講生D はいはい。建物自体その、ほかの受講生の方がこれまでの数日間のことを思い出しながらいろんなことを企画して体験させたと思ったので、それを交換日記に書けば、体験の体験を共有できるのではないかと思って、そのやりました。で、日記というのは、交換日記というのは、自分のために書くんじゃなくて、誰かに対して書くっていうのがおもしろいと思って、それであの、その同じ経験を共有してるんだけど、全くこう、考えてることとか思ってることが違うっていうのは、この1週間でおもしろかったんですね。で、それで、交換日記を。
m だから何をやったのか!
佐 仕組みを。
受講生D まずですね、来ていただいた新入生の方に、この建物での経験を日記に書いてください。で、これはただの日記じゃなくて、交換日記なんで、誰かに対して書いてくださいといいました。
m 4人いたんですね?
受講生D 全部で、4人です。僕も入って6人。で、はい、全員書きます。で、書き終わったら、別の人と交換して、その人に最初の返事を書きます。で書き終えて、また、シャッフルして、はい。それは一回目も二回目も持ってないものを持って、それで読んで、で、まあ一人目二人目って書かれてて、で、2人目の方のコメントに1人目になりきってコメントをする、っていうのをやりました。で、最後にまたシャッフルして、またこう、一回も持ったことのないノートを読んで、それで終わりました。
m その、一人目になりきるっていうところが、うん、いいですね。考えたよね。
会場 
m ちょっと、佐々くん的な。
受講生D そうなんですよね。かなり、オマージュをさせていただきました。
会場 
山 デリケート
m はい、ありがとうございました。(ラップは)準備万端でしょうか?
受講生Y 準備万端でーす。
山 お願いしまーす。
m イェーイ。
チェ 一行ずつ読めばいいの?
―音楽流れ出す―
受講生Y&チェ ラップ♪
m ちょっと恥ずかしいのはなんだろう(笑)。
山 こんなんがあったんですね。みなさん、まだ終わってないです。その日の午前中。魔の14日の。
m 魔の14日は、そこでオリエンテーション完全にされた状態で、はい。で、あれですよね。
山 車を売り込む寸劇を、ことめやの1階の部屋をディーラーにしましてですね。
m ちょっとした応接間みたいなのがあるんですよ。あの、旅館の奥みたいなところに。で、妙なシャンデリアがぶら下がって、で、講師陣も結構、夜な夜な職員会議でどう演出するかっていうのをまあ、正直いろいろ考えてたんですけど。山本さんがあのセールスのやつどこでやりますかとか言ってたんですけど、ここしかないみたいなところがあって、で、ちょっとね、小道具っていうか、盗み聞きみたいに。
m はい、盗み聞きスタイルにしよう、っていうことで、応接間に、マイクを置いて、みんなは中庭をはさんだ部屋でスピーカーから流れてくる会話を聞くという仕様にしました。
山 そう、メディアです。
m (笑)
山 メディアアートです。完全にメディアアートです。
m メディアアートです。
山 メディアアート芸術祭です。
m アイコンがないとできないやつですね。
山 Wi-Fi飛んでましたしね。
m 2015年的。
山 そうです。ほんとそうです。で、そこでまあ、だからみなさんお気づきでしょうか。生徒、第1期生の子達はね、午前中と午後、1日に新しいことをふたつやってるんですよね。大変ですよね。オリエンテーションやって、またすぐ自分達が動いて、ディーラーで車を売るっていうこともやらされるっていう。
佐 1.5期生には結構楽しい。
山 1.5期生はへぇーみたいなかんじ。
佐 1期生にとっては地獄のような日。
m スーパーエンターテイメントされてる側と、してる側。
山 そうですそうです。それでもう、それでお昼食べたんですね、どっかでね。お昼ごはんを食べて。そのあとにヨットに行きましたね。
m はい、立て続けに出し切った状態ではっきり言ってもうしんどいっすっみたいな状態なんだけど、ようやくヨットに乗れるよ今日は!
山 ヨットに乗らせてもらえる。
m 果たして、この日が正解なのか!?でも天気も味方しまして、初心者に優しい風が、ぎりぎりある状況で湖山池へ行きまして、3艇ヨットを出してもらって、そのうちの1艇は僕が乗り続ける(笑)
山 ずっとスイー、スイーって行ったり来たりしてるんですよね。楽しーつって。
m 実は前日の朝にも僕ひとりで行く予定だったんですけど、すごい天気悪かったんですね。電話するともう今日はあきらめましょうと言われたので、この日は僕やる気満々でした。僕の先生の新家さんと彼の奥さんがみんなを乗せるヨットを出してくれたんですね。
山 ものの5分くらいでしたよね、乗ってる時間は。
m あ、そうなんですか。
山 10分ないぐらいですよね。
m やっと乗ってみてどうでした?
受講生H 発表が立て続けにあってものすごく疲れてたんですけど。でもなんか、ヨットの着替えをして、池に着いて、ヨットのスイスイ滑ってる様子を見てたら、乗りたいっていう気持ちがものすごい強くなって、乗るときはすごいはしゃいでました。なので、疲れたんですけどすごい、楽しい一日だったなとは思います。
山 いやまだ1日は終わってないんです。
m 終わってないんです。
山 全然終わってないんです。
m 全然終わってない。
会場 
m で、それで。
山 日が落ちまして。
m はい。
山 そこから赤井さんの弟が召喚されまして。ダッチオーブンを持って来てくれまして、みんなでがっつりバーベキューをやるっていう会が始まりました。その間、釣りボーイズは、ハンターボーイズというお笑いコンビを結成しまして、僕らは湖山池で釣りをしていましたね。準備もせずに。結構釣れましたよね。食べましたそれも。バーベキューで。おいしかったね、あれ。スズキのちっちゃいやつ。もういいや。それで終わりじゃん。
m そうですね。
山 そんなにやってないじゃんね。そうやっていうとね。
赤 トーク。トークやりました。
山 もちろん。その後だから、トーク、感動的なトークがあったよね。
m そうなんですよ。僕はこういういろんな専門的にやってる人の話を聞きに行く機会は多くて、知りたいんで聞きに行くんですけど。そのトークのゲストである新家さんは全日本のチャンピオンになったことのある、鳥取が誇るヨット乗りなんですよ。爽やかでほんとにいい感じの人なんですよ。
山 そうですね。
m 僕のヨットの先生だからヨットの上では「ここに乗って、僕がここに乗って、なんかああやってください、こうやってください」と教えてもらいながらも、風を待つ瞬間があるんですよね。その時にいろいろ話をするんですけど、そういう雰囲気で話せたらいいなあと思ってたので、特に何も決めずに「風のことを教えて下さい」っていうかたちでトークをさせていただいて。よかったですよね?
山 あれはよかったですね。
m 涼しかったんですよ、しかも。いい風が吹いて、ほんとは中でやろうとか言ってたんですけど、そのまま外でやっちゃいたくなるくらい。はい。やっちゃったんですけど。
山 あ、思い出した、俺その日もう一個自分の仕事があったんだ。この日。
m 
山 そう、この日締め切りの某書類がありましてですね、この日消印有効だったんです。で、もう、これでフェードアウトしてやろうと思ったんだけど、やれなくて。話がトークがおもしろくて。で、トークが終わってから、あと2時間半だ、っていうところで帰ってダッシュでやって、23時37分消印で送れました。死ぬかと思った。
m あんまりみんなに共感生んでない感じ。
山 共感生んでないですね。そんなことしてたのー、って思ってると思うけど。
m だから地獄だったんですね。
山 おれ、俺が地獄だったのか。
会場 
山 この日、だってまた。まっ、いい、これはまた個人的に話す。
m でまあ、いろいろin progressしてたっていう。
山 昨日は白川さんに来ていただいて。
m 朝にパラグライダーに乗って。
山 朝一からパラグライダーですよ(笑)。
m でもそれは、よかったですよね。
山 よかった。
m それもまた、天候に恵まれまして。まあ暑いだけになるかなと正直思ってたんですよ、僕は。実際朝起きたときに、雲も動いてるしやばいなあと思って、市川さんっていうパラグライダーのインストラクターの人とお話したら、なんかみんなに来てもらって、たぶん傘の下にじっとしてる時間が大半になりそうだなと思ってたみたいなんだけど、行ってみると海からすごいいい風が吹き出した。なんかこう、こんなことがあるんだなっていう、ミラクルが2、3個起きたな、っていう、本当に、あんまり理由がわかんないですけどよかったです。みんなも多分「これか、mamoruがあの、ほったらかしてでもやりたかったこれ、風ってこれか」ぐらいに、もうその時点でつかんでたと思うんですけど、ま、そこで別に言葉はそんなにいらない。一回なんでやねんと思っといてもらって、体験してくれれるのが一番ですね。
山 やさしいね。
m 興味を共有できるかなあと。はい。思ったんですよ(笑)。で、その後帰ってきたら、、、
山 ボスが。
m しかもその、レジェンド。レジェンドにしちゃったけど(笑)白川さんをお迎えする前に、今日この、ラウンドトークの前にあった「オープンキャンパス」というのをやってっていう課題が出ましたね。
山 そうそうそう。なんか振り返りって結局内省的な行為でしょ。ああだったな、こうだったな、みたいな。振り返ってそれを誰かにプレゼンするってなると、うん、なんだったのっていうのがさ、全部、2回振り返りをしてるんだけど、1回ね。その前日の午前中の。内省してるだけでもだめ、とは言わんが、それしてもとりあえずなんか、どうだったのっていうのを一人ひとり聞いていくよりも、それで僕もみたらおもしろいなあと思って。
m 答えたことのない答えだったら、多分みんなこういうシチュエーションだったらこう答えとけばいいみたいな、反射神経で身についてるんですよ。
山 そう、そう。
m でも、僕ら(アーティスト)はそういう反射神経をどうやって切って捨てていくかみたいな勝負をやってるんですよね。だから普段から反射神経を失うためにいろいろやってるんですよ。で、そこで、その反射神経を切ったときに、たぶんこれ以外には全く役に立たない、特に用途のない興味だとか、力みたいなものが、そこでしか生かされないので力と呼んでいいのか分からないですけど、こう、でもそれを知ってやった、みたいな快楽がある(笑)。なんかそういうことを味わってもらいたいなっていうのはあったんですよね。そういう思いでオープンスクールやりますって(伝えました)。実はその前の晩、みんなが寝た後、先生たちは言わないでおこうと思ったけど。
山 言おう。
m やっぱ言おう。
山 言っとこう。
m あの、地獄の14日の夜中に、2時半まで。
山 書類を23時57分に送って、帰ってきた後、またさらに。
m その山本さんが出せたか出せてないか待ってることめやの雰囲気を想像してみてください。どうしていいか。まず、笑顔かどうかだよね。出せなかったらたぶん赤井さんがすっげーいらいらして帰ってくると思うから、みたいな(笑)。
佐 もう、部屋にmamoruさんが入ってきて、「どう?」「わかんない、わかんない」みたいな。
m そしたら、なんか。
山 クイーン
m クイーンかけながら、満面の笑みで帰って来て。
山 ボヘミアン・ラプソディーを。
m 名曲。2番目くらいのやつですかね。
山 そうです。
m まあとにかくですよ、それから、ほんとにじゃあみんなにどうすれば成果発表って言ってるやつが何がいいんだろうな、と話をしました。おぼろげにオリエンテーションあんだけおもしろかったわけだから何か活かせないかなっていうのはあったんだけど。で、なんかキーワードが出始めたぐらいで、もう一回寝よう。寝て次の日の朝、決めて。
山 それ今日じゃん。あ、違うか。
m はい。みんながご飯を食べてる中、まだ職員会議をやっていたところ、白川さんが到着されて、(そのレクチャーのなかで)9日からスクールが始まって初めて、ようやく15日に白川さんの口からアートっていう言葉が出るっていう、すごいクライマックスがありました。
山 そこでアートの語られ方がよかったですね。「ま、何にもできないねー」と。
会場 
山 「何でもいいよねー」みたいな軽いかんじで。
m 講師陣はそこで涙する。それ!それです!っていう。
会場 
山 それで今日を迎えました。まとめに入ろうか。学校について僕なりにまとめると、僕は小学校の先生で教えてた経験があって、山本くんも教えてるらしいし、白川さんも普段先生をなさっています。基本的に学校って、大人が知ってることを子供に教える場所なんですよね。大学もそうでしょう。大学の就職課の人もそうでしょうよ。「こうやるとこうなるよ」っていう話なんですよね。だけどさ、あの、ダークマターの例を出すまでもなく、我々人類はですね、この宇宙の中で知らないことのほうが多いんですよね。8割がた、宇宙全体の質量の8割だか9割だか、かなりの割合は人間には観測できないんですよね。この宇宙にはそっちのほうが多い、みたいなことも分かってるんですよ。知らないことのほうが多いよね、っていうのが真理なんですね。真理っていうか、本当なんですそれが。そういうところに僕たち住んでる、っていう時に、知ってることの中でぐじぐじやってうまいことやる、みたいなことやってる場合じゃないよな、というのがアート。アートとはそこにつながっている。(そういうことを)やってる場合じゃないよね、っていうノリに近いものなのかなあとは思いますよね。数字的にというか、文化的に、言葉的にではなく、感覚として、あっ、知ってることより知らないことのほうが多いよね、っていう気持ちや感じ。知らなーいっていうのはすごく軽くなる。
m 
山 だってそのほうが普通だもん、みたいなさ。そのジャンプの仕方みたいなのを、僕の場合は車、愛の作法っていって、口説きの話に換言したけれど、数値化できないよさとか、原子力とか、知らないことのほうが多いという世界に対してそういう(社会的な)ポジションにいる人たちはどういう振る舞いをするのかっていうのを見たかったんだよね、きっとね。mamoruくんの場合は、自分がほんとにその場に、身体的にそこに放り投げられるっていう(ことをやった)。基本的にみなさん、放り投げ続けられてきたっていうことなのかな、と、僕は思った。そういうことをやったんだなと、いま話していて思い出しました。そんな学校だったらいいな、と思ってやったんですね。僕はね。
会場 
m その放り投げられた状態で、呼ばれてというか、お越しいただいた瞬間に、まあ、白川さんと共有する時間はそんなに持てなかったので、今何が起こっているかっていうことをお伝えする時間はなかったんですけど、どうでしたか?あの、今日受講生の成果発表はご覧頂きましたか?
白 成果発表を見て思ったのは、僕は中高とか大学でも教えたりしてましたけども、基本学生のほうに任せっきりで今までやってきました。で、任せると、結構学生のほうは自分で考えてやるんですよね。中には、たまたまそういう中で、もうちょっとやりたい、とか、もうちょっとやりたいっていうやつが出てきて、ほっとくとそういう学生は、別にこっちは勧めたわけじゃないけど、グラフィックデザイナーになったりとか。
山&m これね。
白 このTシャツを作ったり。ツイッターとかいう文字のロゴをつくったりするデザイナーになったりとか、人によってはそういうふうになるし、もちろんそうじゃなくて、普通に結婚しちゃって、主婦になってる人もいますけども。でも、偶然に会ったりしたときに、「いや、授業楽しかったです」って何十年か後に人から言われると、ああそうですか、みたいなことで、うん、教えることはあまりないですよね。僕のヨーロッパの美術学校の経験だと、先生たちは何も教えない。教えないので、逆に生徒が自分で考えざるを得ないんですよね。で、先生はそれはだめだっていうふうに言わないから、たださっきのドイツみたいな例だと、こいつだめ、こいつだめ、と切っちゃうんだけど、それはその生徒がだめだ、というのではなくて、そのクラスを統括してるその先生の感性に合わないっていうだけなんですよね。だから、あなたがだめだって言ってるわけじゃないんです。あなたはこの私の統括してるクラスの中になんとなく感性が合わないから、他のところはいいよ、みたいな。だからそういう人は今度はそこの学校じゃなくて、ドイツの場合だと他のドイツ中の美術学校に行けるので、そこで自分の方向に合う先生を探して、そこに行けばいいんですよ。なかなか日本はそういうふうに制度がなっていないから、一つの大学でぽんと首切られちゃうと行き場がないんだけど、向こうだと自分のやってることを理解してくれる、あるいは自分の好みに合うような先生を探して、その先生のところに行けば、また道が拓けていく。でもアートというのは、そういうことなんで、さっき(山本さんが話したように)数値化できるものじゃない。そういうことですね。ちょっといいですか、別なこと言っても。
m 言ってください、はい。
白 僕がフランスの美術学校に行ってたときに、フランスでも絵を教えてる先生とか、美術大学の先生、ボザールの美術学校の先生がいて、その先生が思い出の一つとして話していたのは、例えば、風景を描いてる絵があるとします。まあ、彼のお父さんがロシア人で有名な絵描きだったんで、ロシアで革命があるときに、シャガールやスーチンと亡命してパリに逃げてきて、エコールドパリの中にいた。親父について絵を描きに外へ行くと、親父が風景を描いてるのを見て、例えばこう教会を描いてるわけですよね。で、子供ながらにその親父に言ったのは、「お父さんは向こう側の風景をたしかに書いてるけど、教会はここにないよ、目の前にないよ」って言ったら、「いやこっち側には教会あるだろ」と言うんです。確かにこっちの後ろ側には教会がある。自分が描いてる絵の中に、風景の中ではこっちの教会はここにあるほうがいんだよ、みたいな、そういう話をするわけですよね。だから普通小さいときに、目に見えたものだけを写真のようにきちんと書けることだけが素晴らしいっていう考え方の中だとインチキやってるわけですよね。うそを描いてる。でも、ある絵画とかそういう世界、イメージの世界っていう中では、何がより本当かっていうか、その人にとって何が本当に真実、より真実なのかっていうのはまあ、その風景の中に、そっちにある教会がこっちにあるほうがより自分にとって真実味があるっていうんだったら、それを描けばいいだろ、っていうことなんですよね。自分のイマジネーションとか自分の感性のところで、フィーリングが導くものを選んで描くっていうことで、必ずしも目の前に見えたものを100%写真のように描くことだけが真実ではなくて、いろいろなイマジネーションの組み合わせも真実だということ。僕がついてた先生はそんなことを言っていて、だから、親父はそういうこと言ってたんだよな、みたいなことや、また別な話だけど、その教師と一緒になんかやったことあるんですけれども、そうするとこう、たまにその教師が「この木を美しいと思うか」みたいなことを僕に聞くわけですよ。だから、うーんまあ、きれいといえばきれいだけど、触ってみなきゃわかんないところもあるだろう、って手で触る。木の状態。皮膚っていうか木の皮を触ったりして、やっぱり対象と自分がこうつながるっていうとおかしいけれども、そういう中できれいだなとか美しいなっていうのを感じること、そういうことで初めて、表現できるんじゃないの、と言われたりとかしましたね。あんまりそういうことっていうのは日本の美術学校とかで教えてくれることじゃないんだけど、向こうはむしろそういうことが重要なので。その、写真みたいにすごい能力があってパーっとこう、描けること、それはそれ、生まれつきそういう能力のある人っていると思うんですよ。でもそれだけじゃなくて、自分が感じる対象に対して、フィーリング、感覚、さっきのそういうふうな言ってた話、その世の中に起こっている出来事とか、人との出会いとかいろんなことですよね。そういうところに自分のフィーリングにもうちょっとこう自分の気持ちを近づけていくと、すごくやっぱりそこで見えてくるまた別の世界があるっていうか、そこの中で自分にとってのすごく信じられる、あるいは信じたいと思っている、あるいはきれいだと思える、あるいはほんとだと思える何かがこう、ある。それがすごく個人的だけど、昨日僕が言ったみたいに、日本語は僕が発明したわけじゃないっていうのに近いその部分っていうのはすごく他の人にも通用する、伝えられる何かの部分だと思うんですよね。まあ、それは何であれ、アートだから、あんまり深刻に考えなくても、自分の気持ちに素直になっていけば大丈夫だと思いますよ。そういうのを学校という中で、まあやり方として学ぶというか、別に作品作らなくてもいんですよね。やっぱり自分で、生きている生き方の中でより自分にとって素直で真実味のあるような生き方を選ぶ。まあ、そういうことだから。すみませんなんか。いいですか。
山 もう、終わりましょう。
会場 
山 そうです。そうでした。そういうことです、ほんと。はい。
男性 今花火大会やってるんですけど。
山 昨日はねえ、屋上で花火大会を見る会がありましたんで、今回ね、横田医院の屋上から花火を見ました。
男性 感想を一言いいですか。
山 別に、きれいだったよね。
m 最後よかったですね。最近ああいうクラシカルな、これぞ花火みたいな、結構色が入ったりせずに、薄いなっていうわけではないんでしょうけど、ちょっと火薬の色で
男性 ごにょごにょ
佐 三宅さんとか何かあの。
m 僕と三宅君は撮影を主に担当で、わりと普段から引いたポジションの
三 そうですね。
m (通称)ポパイなんですけど。
会場 ポパイ(笑)
三 mamoruさんの僕の印象はポパイなんですね。
m いや、最初にね、じゃあみんななんて呼ばれてるのっていう質問をしたときに、三宅くんは「やけさん」になんか落ち着きかけたんですけど、ずっと僕の中ではその、クエスチョンインプログレス的なかんじで、三宅くんなんて呼べばいいかなって思ってたときに、あっ、なんかポパイっぽいなあと思って。はい、ポパイザセーラーマンです。
三 僕は、ゲストハウスをやってるんですけど、今回の合宿がすごい旅っぽいなと思って。単純にあの、1泊2日の人が多いんですよ。僕のとこは。だいたいどこもそうなんですけど。長期で泊まる人の感じ方みたいなのが全然違って、一日目来て、夜いて、次の日砂丘に行って帰るのか、まあ一泊して帰るだけなんですよね。でも次の、2泊3日とか、長期の人はあの、その体験を宿の人に喋ったりとかあるいはそこにいる人に喋ったりとかして過ごしていくんですよね。ちょっと現像される期間があるみたいなその感じがすごいいいなと思いました。今回7泊ですかね。7泊8日の滞在なので、現地で通ってる人もいるかもしれないんですけど、外から来てる人は全然家に帰れない状況ですよね。なんかその感じがすごい、今もなんですけど、帰ってからすごい現像になって、定着して、それが突出していくっていうか。なんかその、これからの時間がすごい濃厚なんじゃないかなと、見ていて思いました。
佐 なんかあの、誰よりもプログラムの内容というか、一番見てたのが三宅さんですよね。お酒も飲まず。
三 そうですね。
佐 今日なんかね、三宅さんの写真がふんだんに使われてる。
三 使われてる(笑)。
会場 
山 確かに。今日の展示ね。
佐 個展みたいになってた。
山 三宅君の個展みたいになってましたね。
佐 でもなんか、気になるなあと思って。別に関係はないかもしれないですけど、何かいろいろ見てた、一番見てた。
三 僕は何かね、僕ら(先生サイドにいる)この4、5人の中では、夜中の会議のときとかに、まあ10分とか喋って、その方向で行こうみたいなかんじになるんですよね。そしたらすぐ共有されるんですよ。たぶんそれはなんかフォーマット、アートのフォーマットがあって、それがすぐ理解できるんですね。でも、こっち側(受講生)の方々はその特訓がされてない人も多いので、えっとじゃあ何分後とか言って発表してもらったら「それさっき僕らが言ったことじゃん」みたいに(そこに行くまでに時間がかかる)。
山 あの時絶対山本先生怒りそうだと思って、やさしい感じでフォローしてくれたんですよね。
三 でもそれが、なんか、結果的に2時間後ぐらいに同じところまでたどり着いたんですけど、そこまでの咀嚼がみんなで議論して、え、「もう一回じゃあ言いたいこと言い合おうか」みたいになって、ようやく到着するそのプロセスがすごいよかったなと思うんです。それは多分、今回の旅も一緒で、今回の展示がどうのこうのっていうよりは、そこへ到着するまでの考える時間だったりとか、プロセスを咀嚼するみたいな、何だったのかみたいなのを考えることができる時間みたいなのがあったことが重要だったのかなと思いますね。
山 では濱っちょもお願いします。
濱 えっと、最初こういう企画やるんだけどという話をもらったときに、キュレーターの赤井さんから、あの、とりあえず決まってるのこれだけだからと言われてもらったのが、このテキストの最初の部分、このチラシの、このテキストだけをもらって、これだけが決まってるんだけど、やれる?みたいな。
会場 
山 よく受けましたねこの仕事。
濱 いや僕、すごい、今、いいんです。内容に反して(テキストは)きっちりかっちり書いてあるんですけど、すごいいいなって思っています。実際この場も7日間ないし2泊3日経験したことを、経験してない人に伝えるっていう場になっていて、みなさんその途中で、そういうことがあったりして、僕もこれが終わって、すごいいろいろ感じたこととかを友達とか、家族とか、仕事仲間とかにどう伝えようか。話すという方法を一番しちゃうと思うんですけど、ラップやったほうがいいのかな、とか、交換日記したほうがいいのかなとか、自分なりのやり方でどう伝えようかなって考えるのはすごい大事なこと。今は難しいことだなとか、100%あったことを伝えるとかって難しいことだと思うんですけど。逆に「こうなんだよ」って伝えた部分がずれても、それは広がってるっていうか。ずれた部分も新しい解釈として広がっていって、いいなあ、って思いました。
m ありがとうございます。何かもう。
山 完璧。
m 今回の、言ったら、代打の切り札みたいな存在だったんですよね、この人は。今だっていう時に打ってくれる。
山 今が今だみたいな。
m 質問もこう、いろいろこう会いに行ったときに質問の機会があるんですけど、そん時に、最後の最後で必ず質問をするっていうポジションで。だから、9回2アウトで、ここで打ったら勝ちみたいなときに濱っちょが行って、すごい球を打ち返す、みたいな。もしくは抑える(笑)。ま、失敗もあるんですけどね。
山 チャレンジすることがアート。
会場 
m 疑わしいですね(笑)。まあ、あの、ちょうどですね、このスクール・イン・プログレス始まって以来の時間内に終わりそうなかんじなんですけど、えーっ、やっぱりこう、卒業のね、課題っていうのがあるんですよ。
山 そうなんですよね、実は。
m なんとなくうすうす。まさかこれで終わるとは。
山 思ってないと思うよ。
m 思ってなかったと思うんですけど、この流れできてね。まだパーティーまで時間がある。ありますよね?そうですね、人生まだ時間があると思うんで、
山 一寸先は闇って言う話もあるんでね。
m そうなんですよ。もう昨日の白川さんの名言集みたいなのを僕は貼り出したいぐらいなんですけど、その中で、ほんとにすごいインスパイアされたことがいくつもあって。で、さっきの絵画のお話がありました。この時にぴんと来た。で、今ここに。
山 書いてありますね。
m 一個課題出していいですか?
山 オッケー
m オッケー出たんで、課題を出させてていただくと、あの、今濱っちょからいいパスが出たんですけど、このスクール・イン・プログレスに参加してどうだった的な話を今後誰かにすると思うんですけど。というか、して下さい。で、各地で勝手に、どうだったかっていうことの事実関係もどうでもいいから「こんなことがあったよ」「よかったよ」ぐらいのことを入れ込みながら、さっきの白川さんの話にあった教会の位置関係の話(のようなことをやってみてください)。最初にみんなに「何で来たのこんなところに」って聞いたよね。実際参加してみて、やっぱり「こんなことがあったらよかったな」っていうことがあったかもしれないし、もしかしたら講座以外のことで満足したかもしれない。だから「こんなことがあったらよかったのにな」っていうのが起こったことにして。まあようするに、嘘をついて(書いてみる)。まあ、つかなくてもいんだけどね。
山 普通の感想文。
m そう、普通の感想文とかアンケートとかはたぶん僕らの役にも立たないんで。みんななんか楽しかったです、みたいなやつになっちゃって。クリエイティブな、先生(白川さん)のお言葉をお借りすると、インチキ。
山 (笑)そうですね。
m インチキの感想をつくるっていうのを、卒業の課題に。
白 捏造。
山 捏造。
m 捏造。またいいのをいただきました。
山 捏造。偽造。
m はい。事実である必要はない。そういう。偽装のプロ(佐々さんに対して)(笑)。なんかそこで自分が興味を持ってたこととか、持てたとことか、ねっ、やれなかったこと、やれたこととかをこう、ふくらましたりなんかして、書いてみてください。
佐 それが卒業。
m そうそうそうそうそう。
佐 卒業論文。出していかないと帰っていけない。提出期間は?
m まだ10分あるんで。
山 あ、今だ!
m あと10分。
山 今やらされるの!
会場 
m えーっと、パーティーまでにはまだ時間がある。
山 そうだね。夜は長い。
佐 っということは、自由時間が。
m ここで、やっぱり、時間がある。
佐 時間がありますから。
m あの、何を言ってるか分かりませんでしたっていう人は、あとから、僕に聞いてもらえると、それが最後の課題です。
山 はーい。6時までに。
佐 6時。パーティーが6時からですよね。
m なんかいい話みたいなのをパーティーのときにしたいと思いまーす。
山 というわけで、みなさん、お家に帰るまでがスクール・イン・プログレスなので。
会場 
山 今から6時のパーティーまではそれを書く課題をやって、6時からは盛大に。ピザ窯に火が入ってるはずです。コションドールっていうすごくおいしいパン屋さんが生地をつくってきてくれています。それでピザを作ったり、パンもあるかもしれないね。パンの生地も。ひょっとしたら。ね。
赤 今日はピザです。
山 ピザです。ずっとピザです。
赤 グリル料理も。
山 そうだね。焼いて食ったりとかできます。300度まで上がってるといいなと思いながら、それを食べつつも、その間もスクール・イン・プログレスなので、先生を捕まえて、なんなんすかね、あいつらなんなんすか、みたいな話をしてもいし、佐々さん、みたいな感じでもいいし。逆にね、参加者同士暗いところでイチャイチャしててもいいしね。
m 
山 ぎりぎりなところまでは、まっいっか。勝手にやってください。
会場 
山 勝手にやってください。
m 学校的には画期的なね。画期的な、勝手にやってくださいっていう。
山 好きにやってくださいっていう。うん。
m 僕らもそういうの言われたくないほうなんで。はい。山頂で解散するのが僕のスタイル。絶対学校じゃありえないですよね。
山 そうですね。
m 勝手に帰って、課題をやってもいいし、勝手に卒業してくださいっていうことなんですよ。
赤 質疑応答にします?
m あと5分あるんで、さらに今日共有しようと思った方々、今日来てくださった方々に何を思ったか話してもらいましょうか。
山 1期生。
m あっ、そうですよね。今日オープンキャンパスだから、
山 2期生のための。
m そうですね、それでいいですね。じゃあそれでやりましょう。はい。入りたくなったかどうかベースで。
赤 挙手をしていただけたら。
佐 今日すいか割りされた方とかどうですか。
山 そうだね。
佐 割れたんですか?
会場 欠けた。
参加者S 最終的に、ここで割られたすいかは。
佐 ミスった方と、成功した方。
会場 
m じゃあ、その順番でいきましょうか。
参加者S さっき、あの、カメラ、ビデオ回してる方にもインタビューされて、ちょっと答えたんですけど、いや、やっぱり、あの、2期生としては。
会場 
参加者S オーキャン(オーブンキャンパス)に来て、やっぱりこの人達何を学んできたんだろうなって、これのスイカ割りとかどうかな、って構えて見ちゃったんですけど、くるくる回って体験してみたら、結構、なんか、わりと考えたというのが、わりと、わりと思ってたよりも、これは、っていう(笑)。アートってなんでもいいと思ってるんですけど、わりとなんかおもしろかったなっていうのが。みんなやったらいいのに、って思いました。
山 ありがとうございます。
m かすった人でしたっけ?
佐 先ほどの方は、ミスった人です。
会場 
m ミスったゆえに思った。
参加者S そう。そう、当たってたら、あぁよかったって、終わったと思います。ミスってよかったです。
佐 何がよかったんですかね、ミスって。
m じゃあかすった方(発言をお願いします)。
参加者A かすった。うーん、どうですかね。受講生の方がいろいろ考えて、そういった風に、えーっと、スイカ割りを、まあ、ちょっと違う角度で、アートとして捉えて、考えて、まあ、体験したんですけれども。そうですね。まあ、アートというよりは、もうちょっと、あの、ぱかっと、割りたかったというのが自分の(笑)。
会場 
参加者A 申し訳なかったという風な形になりました。
佐 スイカ割りだけの話ではなく、全体の。
会場 
m いやいや、もう、そこに捉われちゃって。
山 さらにこのテンションで返したってことですから。ぱかっとなったよっていう。
参加者A そうですね。もうちょっとぱかっとしたかったなというのは、個人的にあります。
山 まあでも、棒持って目隠ししてこうプシュってしたところにスイカがある確率っていうのはね、まあ、ないですよ。360度ありますからね。
参加者A あともうちょっと、スイカが大きかったらね。
会場 
山 今日のスイカ割りのスイカは、スイカ自体が小さかった。ありがとうございます。 では小泉くん何か。
小 何を言おうか考えてたんですけど。一つはこのメンバーのアーティストさんたちが、前提としては、こう揃ってるっていうことはすごい面白いことで、一人ひとりの違い、見え方の違いとしても、山本さんの対象との距離の話や、子供とか分からないものからの可能性を見いだす話とか、それをずっとやってこられた白川さんの立ち位置や、チューターとして佐々さんや三宅さんが加わっていて、かなり面白いですよ。だから多分受講生の方々はすごく貴重な経験をされたんだろうなと思って、それすごくいいなあと思いました。まあそれは前提としてあるんですけど、一方で僕なんかはアートスクールといわゆる一般大学を大学時代から行き来してる立場なので、その立場からいうと、今はいわゆる一般大学の中にいる一員なんですけど、アートスクールっていうとヨーロッパとかだと、これはアーティストのみなさんにはいい意味で聞こえてると願いたいんですけど、こう、行くところなくなって、やることないなみたいな。だけどなんかこう、何かやりたいな、みたいな。言い方悪いけど、ちょっとこう、なんていうのかな、ちょっとこう、いわゆる社会の中で、何て言うのかな、はじかれた、っていうか、はじいて、自分達がいったような人達が(集まっている)。
m ふきだまりですよね。
小 そうですね。すみません。その言葉を今言おうか言わないでおこうか10秒ぐらい悩んでたんですけど、まあ、ふきだまりみたいなところがあります。でもそこからやっぱりおもしろいことが生まれてくる。ところが、こういう活動をここでされてるっていうことが何を意味するかっていうと、やっぱり日本の美術大学すらも、まあ、一般大学も本来は、さっきの真善美みたいな白川さんのお話にもありますけど、もともとはそういう、いろいろな、真っていうけど、ほんとに真じゃないんですよ。あの、真ってなんだろうね、みたいなこう、真なるものをみんなで言ってみれば、こうじゃないかとかああじゃないかとか、そういうふうに考えたりするような、そんなのが本来大学のルーツとしてあるはずなんですけど、今はそういう一般大学、美術大学すらも、アートスクールすらも、そのそういう制度みたいなものにすごくからめとられちゃってる。昨日、白川さんと三宅さんのやり取りの中で、アートって呼ぶべきか、呼ばないべきかみたいなことがあって、それは、白川さんのたぶん感覚の中でヨーロッパの研究所のシステム、教育のシステムを受けた人からすれば、アートって呼んじゃっていいんじゃないか。でも日本の美術っていう感覚からすると、やっぱり、それは全然違うもの、みたいな。そういう対比もあって面白いなと思ったんですけど。まあ、ようは、それはヨーロッパとかだったらアートスクールでやれるようなことすらが、美術大学、日本の美術大学とかではもうできなくなってきている。だからもう、そういうところでアーティストたちが自分達でもうやっちゃおうよ、っていう形でこういう活動が始まっているということは、やっぱり考えなきゃいけないことでもあるし、僕は大学の中にいるんですけど、大学の側も考えなきゃいけないことでしょう。もっというと、芸術大学、美術大学こそ考えないといけないものですよね。で、ほんと、日本の大学はだめだ、あの、自虐の意味だけじゃなくて、美術大学すらも結局、勤めて職を得てる人達っていうのは、まあいい先生もいるんですけど、大概はやっぱりこう最前線でやってるんじゃなくて、こう、やっぱりそこに入っていっちゃった人だったりとかそういうこともあるし。特に作家系の人たちはですよね。で、面白い人ほどそういう体制の側に入ってないっていう現状があるから、やっぱりその辺の、ちょっとこう、僕の社会、まあ社会っていうか、大学の側からすると、そういうところはやっぱり変えていくのか、あるいは大学は大学であきらめちゃって、それは社会全般の制度といえるかもしれないけど、太陽の塔じゃないけど政策芸術みたいなのを政策芸術ってあきらめちゃって、もうこっちで勝手におもしろいことやればいいっていう話なのかもしれないし。もっというと、鳥取でやらなきゃいけない、やらなきゃいけないじゃない、やってるっていうことの面白さと、なんていうのかな、東京じゃこれができない感じとか、そういうことを僕らはちょっと考えないといけないな、というのを思いました。はい。なので、あの、すごくあの、まあ、たぶん作家志望の方が少ない、そういうわけじゃないと思うんで、あえてこういうコメントをしたんですけれども、どうこれを持ち帰るかっていうことでこれを考える、僕なんかは、それは社会の、大学に限らず、その政策にしても、マスメディアにしても、まあそういういろんなものが硬直化していく中で、そういう自由度がすごく狭まっていることへのアプローチだと思うので、やっぱりすごく意味のあること、だと思いますね。はい。ありがとうございました。
先生達 ありがとうございます。
小 本当にまとめみたいになっちゃって。
山 みんな宿題のことでそわそわしてると思うんで。
m えーっ、また思いつきました(立ち上がる)。えーっとですね、ちょっと学校っぽいですよ。あの、今日のトークのタイトル何かみなさん知ってますか、みたいな。えーっと、その卒業論文の、一応フォーマットとして。あんまりスクールインプログレスはそういうのやってこなかったんですけど、今回に関してはちょっと、赤井さんからのたっての希望がありまして。ねえ、これどうすんのって、ずっとどうすんのみたいなかんじだった。これがはい(ホワイトボードに文字を書く)。はい、これなんでしたっけ。リビングメイキング_のために。_ですよね。これ。自由に使ってください。分かるよね。で、なんかあの、僕が昨日白川さんのトークを聞いていてそうそうそうそうってすごい共感させていただいた、最もヒットしたワンワードっていうか、単語が「勝手に、勝手に」って白川さんが何回もおっしゃってたんですよ。やっぱり僕はそれが気になったんで、iphoneに入ってる大林苑で「勝手」っていうのを調べたんですね。とかいうのがこう結構、卒業式の辞書には何とかっていうのがあるじゃないですか。まそれのパロディですけど。えーっ、一番気に入ったやつ(例文)に「勝手な熱を吹く」っていうのがありました。「いい気になって言いたい放題言う」という事例が、「てんでに勝手な熱を吹く」っていう例文で書いてまして、辞書って結構ああいう感じで、あそこが、勝手な熱のために吹くだったら、その部分だけ抜いててビーってなってる(_____という文字で表記されて)んですよ。それを見て今、思いついたんですけどね。それは、まあ、ヒント出しすぎちゃいましたけど、僕の付けたタイトルの「_____」です。その、タイトルからいくのもいいし、内容からタイトル決めるのもいいですけどね。最終課題に向けてみなさん、張り切っていきましょう。2期生の方には今日の感想に関して、適当に背びれ尾びれ等をつけて、のっけていただきながら感想を書いていただければ、まあ本望かなあと。こういうことを勝手にやらしていただいたわけですが、それと同じくらい響いたのが、何かオーダーをいただいたときに主催者側が勝手にやらしてくれっていうのが一番響いた、今回勝手にやらしていただきましたよね。
山 ありがたいこと。
m っていうことで。
山 (これ以上言うことは)ないです。あざーす。
会場 拍手
赤 講師のみなさま、受講生のみなさま、お集まりいただいた2期生のみなさま、どうもありがとうございました。これでスクールインプログレスの2015の全てのプログラムが終了。お疲れ様でした。ありがとうございました。



















































































































































STATEMENT










mamoru   サウンド・アーティスト|SCHOOL IN PROGRESS共同ディレクター


とある興味が立上がり、何かを知ろうと思いたつ。まずはサクッと検索、スクロール、ふと気づくとキーワードの様なものがすでにあって、それを手がかりに、当たりを付ける。幾つかのページに目を通す。未だに手がかり以上の尺度は無いまま、情報を拾う。ん? 何かひっかかる、そんな場合はブックマークに放り込むかもしれない。これは2015年時点の日常で、とある興味がたどる、ありがちな初期動作の1つ。もちろん他にたくさんの動き方があって、その可能性そのものへの関心が今回の「SCHOOL IN PROGRESS」の原動力。参加者はアーティストが持ち込んだ関心事を見聞きするだけでなく、僕たちとともに調べたり、考えたり、書いたり、歩いたり、寄り道したり、話したり、飛んだりしながら、探ってみたいと思っている。




山本高之   ビジュアル・アーティスト|SCHOOL IN PROGRESS共同ディレクター


今までに誰も食べたことのない美味しい料理を新しく作るためには、どうしたらいいのでしょうか。新しい素材を探す?新しい組み合わせを探す?それとも使い古された食材の新しい調理法を見つける?答えは、何が美味しいかを知ることです。美味しさの基準を自分の中に持つことです。この度鳥取で僕らがやろうとするのは、誰も食べたことがない素材をリスクを冒しつつとりあえず食べてみること。フグのどこに毒があるのか分かる前に死んでいった過去のたくさんの食の冒険者への尊敬を胸に。




人の営みの根源を知る 新しい滞在型アートスクール

本講座は、「living/暮らす」と「making/つくる」という人の営みのもっとも根源的な行為をキーワードに、フィールドワークやワークショップといった実践を通して、体験し、思考を深め、新たな知を獲得するプログラムです。「すべての人が芸術家である」と言ったヨゼフ・ボイスは、人々の営みが社会をつくりあげていることを「アート」として提示しましたが、それは個人個人の営みの中にある創造性によって支えられてこそ可能となるものです。この創造性は、さまざまな未知の経験を乗り越えることで人々が得た洞察力や直感力、想像力といったものの総合として、日常生活のあらゆる場面において発揮されています。
この新しい学校では、アーティストとともに既にあるものや普段の生活・日常を見つめ直し、創造性の在処を見つけ、それを自らの内に育む力を身につけることを目標としています。その力を持ち得たそれぞれの個人が、新しい足場から眺望し、世界と向き合いながら__________ために、共に学ぶ機会としたいと思います。







夕   集合

夜   Orientation
オリエンテーション


18:00-19:15 旧横田医院,参加人数:16名


1週間以上をともに過ごすことになる集中実践コース生、ディレクター、スタッフがそれぞれに自己紹介。その後ディレクターとチューターによるスクールについてのオリエンテーションを行った。mamoruによるリスニングのワークショップもあった。その後、ウェルカムパーティ@韓国焼肉トントン。若手アーティスト、芸大生、アート系専攻ではない大学生、社会人などなど年齢も背景も様々な参加者達が鳥取だけでなく、全国各地から集まってきた。講師陣にしても実際に顔を合わせるのは久しぶり。期待と不安入り交じる。












































朝   Program 1-1
mamoru × 新家憲一郎
風を知るために:ヨット編①

昼・夕 Program 1-2
mamoru × 三宅航太郎
風を知るためのレクチャーとリサーチ

夜   Night Program
夜の散歩



Program 1|風を知るために

身近だけれど、目には見えない、いろいろな文化で詩的に扱われることも多く、実のところ壮大な地球規模の大気現象の一部でもある、風。耳をすますと、どこからか吹いてきて何かしらの音を奏でたりする。そんな風を知るために、鳥取の山に登り風の道を見る、海に出てヨットのことを教わり、砂丘からパラグライダーで飛んでみたいと思います。

Night Program|夜の散歩

昼間とは異なる様相を見せる夜の街を歩きます。歩きながら考えたこと、夜に考えたことは、どこに辿りつくのでしょう。行動と思考、休息のための静かな実験です。


09:00-11:00 賀露海岸,17名


快晴。前年、mamoruが鳥取での滞在制作の折、風のリサーチとして初めてヨットに乗ったことをきっかけに、今回はスクールの特別講師として参加いただくことになったヨットセイラーの新家憲一郎さんが軽トラックにヨットを載せ海辺で待っていて下さった。新家さんの父は「レジェンド」と呼ばれ、ヨットセイラーの間では知られた存在で、その父の影響から新家さんは小学校3年生から小型ヨットにのり始めた。その後2012年にはトッパ―級の日本選手権で優勝、世界選手権でも日本人歴代最高位の16位を獲得している。ヨットはボートやカヌーと異なり、帆に受ける風を推進力に進むため、ジグザグとして航路をとりながら目的地点を目指す競技。従って「風を読むこと」が勝敗を分ける。季節や天気、気温、時間によって常に変わっていく風の動きをいかに予測し、つかまえるか。初めて近くで見るヨットに少しテンションが上がった様子の参加者たちにとっては初めて聞く話ばかりで、さまざまな質問が飛び交う。ほどなくしてmamoruと新家がふたりでヨットに乗り、沖へ向かった。その様子や聞こえたもの感じたことを参加者たちはノートに書き留めた。

13:00-18:00 鳥取市街地&久松山,17名


ことめやを出発地点とし、久松山を目指して参加者全員で歩いた。歩いている中では各自気付いたこと・感じたことをメモしていく。頂上へ着くと鳥取市内を見渡すことができた。しばらく休憩をした後、頂上の草地に座り、地形から読み解く風の話をmamoruが作品紹介を交えつつパフォーマンス風に語った。登山途中にリスニングしてきたことで研ぎ澄まされた感覚により、参加者は一段と風と想像の世界へ引き込まれている様子であった。

20:30-22:00 鳥取市街地,17名


夕食後はチューターの佐々瞬さんによるプログラム。一人ひとりが鳥取市街地を歩きながら悩みやその時に頭に浮かぶことに考えを巡らせる。そして頭に浮かんだことは言葉に出し、ボイスレコーダーに録音をする。出発前には地図が渡されるのだが、どのようなルートで歩くのかについては各自に任されている。また、時間、ゴールの場所も決まっていない。
































































































































朝・昼 Program 2-1
山本高之
企業と一般社会との(良好な)関係:PRについて
リサーチ・バス・ツアー

夕   Program 3-1
山本高之
愛の言葉−口説きの作法:車の場合

夜   Night Program
振り返る時間:リサーチ・バス・ツアー



Program 2|企業と一般社会との(良好な)関係:PRについて

PR=Public Relationsとは、元来企業や官庁などの組織体が、その活動や商品などを広く知らせ、多くの人(Public)の理解を高めるために行う宣伝広告活動のことを言います。それらの主体は、僕ら(公衆)とどのような関係を望んでいるのでしょうか。このプログラムではさまざまな展示館を訪問し、組織体と一般社会・公衆との良好な関係について考えてみます。

Program 3|愛の言葉 口説きの作法

自動車のような高価な買い物は一生のうちでそんなにするものではありません。いかなる理由で「その」車に決めるのか。売る側はどうやって「それ」を選んでもらおうとするのか……愛とその誘惑の作法をリサーチします。


9:00-15:15 バス・ツアー,17名


リサーチ・バス・ツアーという形ではじまった2日目。参加者全員でマイクロバスに乗り、遠足気分で向かった先はかつてウランが採取されていた岡山県と鳥取県の県境の人形峠にある体験型学習施設アトムサイエンス館。バスの中では山本からバスツアーの主旨が語られた。その後、mamoruがパラグライダー体験の話をしたり、参加者もそれぞれ5分程度で自分自身についての話をする時間が設けられ、移動時間も有意義な時間となった。人形峠へ到着後、まずはアトムサイエンス館へ行きウラン鉱山を見学した。施設の職員の方に案内をしていただき、1時間ほど原子力発電についてのレクチャーも受けた。昼食を食べた後、人形峠資料館、上斎原スペースガードセンターも含め各自で見学をし、どのような展示がなされているのかリサーチを行なった。レクチャー中も質問し、その後も反芻しつつ「PR」とは何か・・・について実地調査した。鳥取市内へ帰る途中ではウラン鉱山が地面に埋められているというキュリー広場で記念撮影。

15:30-18:00 車のディーラー,17名


その後息つく間もなく、13日に予定されていたProgram 3のリサーチ部分を前倒して参加者とスタッフは、4グループ(1グループにつき4人程度)に分かれ、4社の車販売ディーラーへセールストークのリサーチに向かった。リサーチは受講生が実際に車を買いに行った、という設定で行なわれ、事前に趣旨は伝えてあるもののディーラーの方々にはいつものように販売の対応をしてもらう。グループによっては試乗までしているところもあった。

20:30-22:00 バー,17名


夕食後のNight Programは参加者の宿であるゲストハウスの階上にあるバーにて行われ、日中訪れたアトムサイエンス館、原燃の職員の方から聞いた話の内容が衝撃的で、そのための消化時間を持つほうが良いだろうという判断から、当初予定していたクロストークを大幅変更し皆がそれぞれに受けた印象などを語り振り返る時間となった。




















































































































朝・昼・夕 Personal Practice
mamoru・佐々瞬
リサーチの時間

夜     Night Program
佐々瞬
夜の散歩


09:00-18:00


朝、mamoruは再びヨットを使った風の追加リサーチのため一部のスタッフと海へ。昼からは佐々瞬によるワークショップの時間。参加者達は佐々瞬のワークショップ、夜の散歩2に向けての準備を行った。初日に実施した夜の散歩で録音した音声を地図の中に書き起こす作業。どういうルートを辿り、どこでどのようなことを考えたのかを記し、その人だけの地図がつくり上げられていった。作業場所は指定されておらず、受講生によっては市街地を散策して見つけた場所で過ごした人もいた。

20:30-22:00 鳥取市街地・バー,18名


夕食後、参加者達は自分ではない他の誰かが制作した地図、音声を持ち、その地図にそって音声を聞きながら市街地を歩く。例のごとくNight Programは臨機応変に変更され散歩を終了した参加者がバーに集合し、感想、意見をシェアする場になった。自分の体験がどのようなものだったのかについて、その他にも人によって地図が大きく違うことについて話は盛り上がった。
















































































朝   Personal Practice
山本高之
ディーラーになってみる練習

昼・夕 Discussion & Meeting
前半のまとめ&課題提示&課題について考える
ディレクターとの面接

夜   Night Program
体験コース生へ向けてのオリエンテーション準備


09:00-13:00 ことめや,16名


午前中のリサーチの時間では、車販売ディーラーを取材した経験のアウトプットとして山本が車の購入を検討中の客、各グループがディーラーという設定のセールス寸劇として翌日発表される事が参加者たちに告げられる。早速、各班メモやビデオを見返しながら、ディーラーを真似るだけではなく、実際に山本が欲しくなるようなセールストークの工夫を打ち合わせ練習を行った。ユーモアを利かしつつ、考え、悩みながら、アイデアを出しあう。

13:00-18:00 旧横田医院・ことめや,16名


午後からは、翌日から合流する体験コース生へ向けて集中実践コース生がオリエンテーションを行なうというディレクターからの説明があった。これは当初予定に無かった内容だが、ディレクター二人がプログラム初日から頭を悩ませていた全参加組と後半組という2つのグループの温度差をどう扱うか、という課題から生まれたアイデアであった。言葉であれこれ説明するよりも体験的にスクールの雰囲気にどう巻き込むのか。悩んだあげくスクールのエッセンスを一番に体験している他でもない全参加中の集中実践コース組へのグループ課題としてプログラムを考えることをチャレンジ。たった3日とは言え相当に濃厚な時間を過ごしてきた集中実践コース組はいかに彼らの経験をプレゼンテーションできるのか。各自がおのおのやってみたいアイデアを考えるように促されたあと、受講生は山本・mamoruディレクターとの個別の面談・ヒアリングを行い、その場で生まれてきたアイデアをどう具現化するのかを相談する。ディレクター達のちょっとした修正、テコ入れ、後押しが加えられやるべきことを明確にしていく。

20:30- ことめや,17名


面談後、受講生それぞれが考え出したアイデアをいまいちど整理・検討したディレクター人が受講生とオリエンテーションの全体像を共有する。その後は受講生のみに全てを託し、それらのアイデアをもとにどのような内容・形式にするのか打ち合わせ・準備を行なった。アイデアを組み合わせたり、発展させたりしながら、遅い時間まで真剣に準備を進めていた。突然の課題だったが、受講生はこれまでのスクールの様子をより実感を持って伝えられるように考えを巡らせ、受講生による新たな受講生のためのオリエンテーションプログラムが企画されていく。まさにSchool in Progress!








































































































朝   Orientation
集中実践コース生による体験コース生のためのオリエンテーション

昼   Program 3-2
山本高之
愛の言葉−口説きの作法:車の場合

夕   Program 1-3
mamoru × 新家憲一郎
風を知るために:ヨット編②

夜   Program 1-4
mamoru × 新家憲一郎
トーク「風を知る」


10:00-12:00 旧横田医院,22名


到着した体験コース組は前日より受講生主体で準備されてきた「オリエンテーション」を旧横田医院にて体験する。旧横田医院内を回遊する形式で行なわれ、これまでの経験をラップにして歌う部屋、風のメモを真っ暗な部屋で朗読する部屋、久松山を登る疑似体験を行なう部屋などで、説明的な言葉を排し、ノリや雰囲気で今まさに自分たちも体験中のスクール・イン・プログレスのエッセンスを想像力で共有するパフォーマンスのような試みがなされた。

13:00-14:30 旧横田医院・ことめや,23名


その後ことめやに会場を移し、集中実践コース組が2日目に行った車販売ディーラー取材と体験を元に準備した寸劇風プレゼンテーションが発表された。グループごとに実際に山本さんへ車を売る工夫がなされておいり、車で人を表わすグループや登場人物をディーラー以外にも設定するグループなど、いくつもの工夫がみられた。取材した際のディーラーのスタイル、要点を分析し体現する様は笑いあり、なるほどとうなるところありで見応え十分。

15:00-17:00 湖山池,25名


この日はさらにいつもにましてハイペースなプログラム。湖山池へ行き新家さん夫妻を講師に受講生全員がヨットに乗る。参加者たちはヨットに乗り込み、さんざん話をきいたり取材に同行してきた「風」を体験する。初めてのヨット体験に興奮し、話だけでは感じとることのできない風を自分自身の体で体感した。

18:00-20:30 夕食[BBQ] 湖山池,27名


夜は湖山池のほとりで、さわやかな風が吹き抜ける中、BBQパーティー。長い一日を労いつつ集中実践コース組も体験コース組も自然と打ち解けた。

20:30-22:00 湖山池ベース,29名


そのまま今回の風リサーチでお世話になったセーラーの新家さんとmamoruのトークセッションを行った。新家さんがこれまでヨットで体験してきた話などを聞き、自らの体験でより身近になった風とヨットのさらに深い話を聞く時間になった。




























































































































































































朝   Program 1-5
mamoru × 市川正
風を知るために:パラグライダー編

昼   Program in Progress
進行形のプログラム

夕   Special Program
白川昌生
暮らすこととつくることの話を聞く

夜   Talk on the Roof
mamoru × 新家憲一郎
トーク「風を知る」



Special Program|暮らすこととつくることの話を聞く

地域コミュニティでのアート活動の第一人者であり、数々の著書・論考により作家が生きる社会、経済、思想について世に問うて来たアーティスト・白川昌生さんをお迎えし、「 暮らすこと」と「つくること 」にいかに向き合って来られたのかをお聞きします。

Talk on the Roof|屋上トーク

「アートはなぜ/どこに/どうやって生まれるのかについて+興味をもつことについて」アート、そして創造性の在処を巡って、夜空を眺めながら一夜を語り明かしましょう。


9:00-11:30 鳥取砂丘,20名


前日のヨット体験に引き続き、風リサーチもいよいよクライマックスのパラグライダー体験@鳥取砂丘。気象条件も良く市川正さんと砂丘本舗の方々の指導と協力のもと、砂丘の一番高いところから海の方向へ向かって参加者は次々に自ら飛んでいく。気象条件も良く、想像以上の感動と楽しさを味わうことができた参加者達は、着地したところからパラグライダーをまとめ砂地を歩いて頂上に戻り、体力と時間が続く限り風をとらえていく。風のリサーチはスクール開始からやってきため、感じるだけでなく、飛行しながら、体験的に何かを知るという経験もできたと思う。

13:00-15:50 ことめや,20名


予想以上の興奮にリフレッシュされたところで、最終日に行なう受講生の発表についてディレクターから説明があった。参加者による「オープンキャンパス」。実のところディレクター陣は期間中ずっと夜な夜な最終課題に関して意見を交わし続けていたのだが、プログラムを一通りやってきて、特に集中実践コース組が体験コース組を迎える際に感じたポテンシャルにも後押しされ最終課題は決定した。短期合宿型の濃厚なプログラムをパブリック・イベントにくる人たちにどう伝えるのか、何を体験してもらうのか、スクールらしさとは何(だったの)か?自らの体験を振り返りつつアウトプットするというチャレンジ。どのような方法・形式をとるのかや開催場所については指定されず、基本的には受講生に全て任せられることになった。参加者たちは全員で相談したり、それぞれの持場や企画を担当したりしつつ、数日間の疲労とも戦いながら準備ははじまった。

16:00-18:00 SAKAE401,人数未確認


夕方からは特別講師の白川さんのこれまた濃密なアーティスト・トーク。鳥取大学の小泉先生を聞き手に、白川さんのこれまでの活動・作品について。作品をつくるとき、どこで、どのように考え、誰と行なうのか、さらにはアートをどのように捉えているのかが語られ、興味をもつこと、そこから生まれうる行動や表現について強烈な実例を目の当たりにした。ちなみにこの白川さんのトーク中にスクール期間通じてはじめて「アート」という単語が発せられた事は特筆しておくべきことだと思う。

20:00-22:00 旧横田医院 屋上,23名


日没後、旧横田医院の屋上から花火を眺めつつ白川さんを囲んで。堅い雰囲気はなく、質問や考えたことを投げかけながらお互いに話ができるような和やかな時間をもった。夕方に行なわれたトークからさらに発展したものとなり、受講生にとって有意義なものになった。

22:00-25:00 バー,23名


受講生の一人でもあり、倉吉に拠点を置きながら世界で活動しているバーレスクダンサー・チェリー・タイフーンによるバータイムも開催された。ディレクター、チューター、ゲスト、受講生がフランクな状態で話ができる時間となり、1対1でディレクターと受講生がじっくり対話をすることもでき、昼間とは違った良さがあった。
















































































































































































朝   Preparation
オープン・キャンパス準備

昼   Public Program
受講者による発表
「オープン・キャンパス」

夕   Special Program
ラウンド・テーブル
「リビング、メイキング _________ために」

夜   Closing Party
クロージングパーティー



Special Program|ラウンド・テーブル「リビング、メイキング _________ために」

一週間にわたるプログラムを通して気づいたこと、わかったこと、獲得したもの、達成したこと(あるいは、そうしなかったりできなかったものやこと)を共有したのち、受講者による成果発表をふまえ、本講座のテーマである「住むこと」と「つくること」の意義や意味について、全参加アーティストを含め、会場全体でディスカッションします。


8:00-12:00 旧横田医院・ことめや・SAKAE401,22名


午後からのオープンキャンパスに備えて朝からフル回転で準備が進む。発表で使用する道具を揃えたり、展示会場を設営したり、より多くの人へ向けて発信するために紙媒体のチラシの制作と配布、ツイッターアカウントを新たにつくり情報を発信することも行なわれた。にわかにお祭り当日のような雰囲気。

14:00-15:00 旧横田医院・ことめや・SAKAE401,人数未確認


受講生による発表は旧横田医院での展示、パフォーマンス、SAKAE401でのパフォーマンスを行ない、来場者は受付を行なった後に各自で会場を巡る形となった。「アルティメットスイカ割り」というパフォーマンスが用意されたり、写真、スクールを終えた感想を述べている受講生の音声、風見などが展示されるドキュメント展が催されたりした。準備時間が極端に限られている中で、スタッフやディレクター陣も当日になって全貌が知れるという状態ではあったが、当日オープンキャンパスに訪れた人たちも楽しげに時間を過ごしていた。

15:00-17:00 SAKAE401,人数未確認


全てのプログラムを終え、ディレクター、チューター、ゲストによるトークセッションを行った。プログラムの内容を説明しつつ、ディレクターが感じたことなどを伝えていった。途中では受講生も感想などを述べていた。

17:00-22:00 旧横田医院 庭,人数未確認


クロージングパーティーは旧横田医院の庭スペースを活用して行われ、ピザ窯フル稼働の中、受講生だけでなく、ラウンド・テーブルへの参加者も一緒になり、意見交換、交流を深める場となった。また最後は音楽を普段より大きなボリュームでかけ、皆で踊りつつ濃密な8日間を締めくくった。

22:00-25:00 バー,人数未確認


旧横田医院の庭からバーへ移動し、名残惜しみつつ、コンパクトな形で意見を交換したり、感想を述べ合ったりした。






















































































































































ラウンド・テーブル
「Living, Making, for__________」
日時:2015年8月16日15:00-17:00
会場:SAKAE401(鳥取大学サテライトキャンパス)

出演者:

赤=赤井あずみ (キュレーター、SiP プロデューサー)
山=山本高之(美術家、SiP共同ディレクター)
m=mamoru(サウンドアーティスト、SiP共同ディレクター)
佐=佐々瞬(美術家、チューター)
三=三宅航太郎(チューター、撮影担当)
白=白川昌生(美術家、特別講師)
小=小泉元宏(立教大学准教授、特別講師)
チェ=チェリー・タイフーン(バーレスクダンサー、チェリーズバー担当、1.5期生特別参加)
濱=濱祐斗(デザイナー、グラフィック担当、1期生特別参加)



赤 今回の学校は「オルタナティブなアートスクール」というような少し曖昧な言い方をしてきたのですが、まずディレクターのお二人にその仕組みというか、学校という制度とを使ってやってみたかったことというのはどういったものだったのかについてお伺いしたいと思います。構想された段階でどういうものを考えながらつくっていかれたのかについて、お話いただけますか。
山 美術大学とかでは「こういう先生についておいたほうがいいんじゃない」とか「あそこのギャラリーは...」とか、そういう下世話な話があったり、各々作品を作ること以外にいろいろ話したりするのが多かったりすると思うんですけど、この「学校」に参加した人たちの皆さんが作家になるわけではないと思うんです。どうだろうなあ。「スクール」っていったら、何がしかの何かを学ぶ、場所ではあるだろう。でも学ぶとは何かみたいな。ことを考えていくと、なかなかね。では何を教えられるか、「教えるー教えられる」という関係性とは何なんだろうね、っていうところまで一回さかのぼって考えたところから始まるんですよね。
m はい。僕の記憶が正しければ、鳥取に僕が最初のレジデンス・プログラムで来たときに、前々から学校的なことをやりたい、新しいインスティチューションを、既存の形でないものを作りたいなっていうのはなんかこう、本当にぶっちゃけて言うと、例えば芸大とか美大から、教えませんかとかオファーがあって、ないですけど、今後くる可能性が高いじゃないですか、多分。でもそういうアーティスト同士でどうする?みたいな。ちょろっと何人かには言ったと思うんですけど、僕も35を超えまして、いわゆる新人ラインみたいなのが世界的に35歳なんですね。作家の世界って。で、そこから先を死のミットキャリアといわれているゾーンがありまして、この40代50代、恐らく人間、動物的には一番仕事ができる。なんかいろいろつまってきて、出したいもの出して、コネクションが結構あるっていう時に、お金がない、っていう状態に陥るんですね。これを死のミッドキャリアと言います。これ覚えて帰ったほうがいいです(笑)。そこで、やっぱりこう、教職とかそういう仕事をすることになったりするわけです。それも全然いいんですけど、今の世界で、特にいろんな作品のタイプありますけど、調べてやるとか、山本さんみたいに各地の子どもを騙して作品をつくる、いや、子どもと一緒につくるんですけど、(プロジェクトによって)あちこち行かなきゃいけないんですよ。定職に就いちゃうと普通にそれって無理じゃないですか。別に就きたくないわけじゃないし、たぶん就けないわけでもないと思うんですよ。実際にやってないからはっきりはいえませんが。でも性格的にはあんまり向いてなくて。では死のミッドキャリアで死ぬのかっていうと、それはちょっと違うんじゃないか。じゃあ、行った先に学校があれば、いいんじゃないか、と考えたわけです。それをここでやろうということではなかったんですが。そんな話聞きましたよね。レジデンスが終わる頃に山本さんがちょうど遊びに来てくれて、そこらへんで飲みながら「やりたいっすよね」っていう全く具体的なイメージもないままに、「ああいいじゃん、やろう、やろう、やろう」って言って決まったんですね。それがあの、僕のおぼろげな記憶ですけど。だったかなっていう。
山 そうですね。何をやろうか、それで、っていう話ですよね。
m 僕がオランダに戻ったりしてたんで、それから結構時間はちょっと空いたんですけど、話は流れたのかな、って思っていた頃に連絡がきました。
山 その時僕はニューヨークいましたね。
m 打ち合わせも、僕はオランダで、、、あの時、僕日本にいましたっけ?
山 アーティストは移動が多いんですよ。
m そうなんですよ。だからなんか短期決戦的な。もしかしたらこう、場所も変わっちゃってもいいんじゃないか。イメージとしてはね。今それを考えてるわけじゃないですけど、そういうフレキシブルな作家にやさしい、アーティストにやさしい、そういう学校。でもそれは生きてるアーティストって、まあ、なかなか、あっちこっち行ったりするし、忙しいし、出会う機会があまりないと思うんですけど、あちこちせっかく行ってるんだから、その行った先で何かできれば楽しいし、刺激も続くしなあ、みたいなそんな感じがありました。今何ができるんだ、っていうときに、鳥取っていうのは試す場としてはすごく環境も大学もあるし、つながりももともとあるし、まあここで思いついたことだし、っていうことで。
山 そうですね。
m はじまりのはじまり。
山 学校だからこれを学んで帰ってねっていうのもね。それがクリアになれば、すんごい楽なんですけどね、本当は。「学校」なので車の運転できるようになって帰ってください、とか、エクセルできるようになって帰れよ、だったら楽なんですよ。覚えられないところを教えてあげればいいんだから。そういうのでもないので、何を、どういうことができるんだろう、とか思いながらこんなプランを考えてみました。
白 いや今僕は話を聞いていて思ったのは、スクールということでは、僕はデュッセンブルクの美術学校に6年くらい、1年生のときから卒業してマイスターまでいましたけど、一応大学と呼ばれるところでしたが、授業はなかったですね。例えばゲルハルト・リヒターとか有名な先生たちがいたけど、どこのクラスもみんなそれぞれ絵を描いていたりしていて、教室に行くと月に一回そういう先生たちが来て、作品をぱっと見る。ドイツ人の作家の人ってほとんどいいとか悪いとかあんまり言わないんですよね。それで年末の最後に、例えば1年生から2年生にあがるときに、テストじゃなくて作品を提出して終わりなんですが、その最後のところで「だめだめだめ」とかって言ってくる。
会場 
m 先に言ってくれよ、みたいな。
白 言われちゃうんだよね。それでだいたいクラスの半分くらいが落第しちゃうんですよ。毎年半分ずつ落ちていくから、卒業するのはほんのわずかなんですよね、ドイツなんかは。まあそういうシステムになっていて、先生たちは「こういうのこうしなさい」って全然言わない。日本だと結構ね、すごく手取り足取りだから。正直なところ僕なんか友達で有名になった人とか作家とかドイツ人でたくさんいるけれど、おそらく石膏デッサンもできないような人がたくさんいますよ、本当に。でもそういう人が作家になれる。というか、まあ、求めてるところが違うというか。だからさっき山本さんが言ったみたいに何を教えるか、とかっていうのは、微妙に難しいなあと。
m 思ったとおりにやってみて、受かる、受かるというか、通るか落ちるか。年末まで分からない。
白 アートというか、こういう作業っていうのは方法論がきっちりあるわけじゃないので、ものすごくその辺はアバウトですね。無責任かもしれないけど。でもその分だけその人の何か、それを相互にっていうかお互いにっていうこともあるけど、自分でもこう、引っ張り出してくるみたいな、そういう作業(が必要で)、自分で自分の頭の中に手を突っ込んで、こう、何か引っ張り出してくる、みたいなことをしなきゃいけない。
山 国内の大学の仕組みだと、たぶん2、3年ぐらいから、芸大の子たちだってひょっとしたら、就職活動したりとか、デザインとかだとね、してたりするよね。アートを4年間みっちり学ぶっていう場所もなくなってきてるかもね。学校じゃない場所、バウハウスには、結構とんちんかんな授業がいっぱいありますよね。だから、どっちかっていうとその、アートはアーティストになるっていうよりも、アートについて学ぶ、アートって何だろうな、っていうところを、多分次に僕たちは考えるんでしょうね。別に最終的にアーティストになるわけじゃないから、アートにちょっと触れる、でも作品に触れるっていうよりも、アーティストのmamoruくんがどんな興味から世界を眺めてるのか、一回ちょっとやってみる。みんなで寄り添ってちょっとやってみる、とか。この人はここから何か作品をつくっていくんだろうなあ、っていう、途中だったり前段階の部分をみんなで少し見てみよう、覗いてみよう、っていう感じ。だから本当は企業秘密のところなんですよね。
m そうなんですよ。恥ずかしいんですよ、結構。まじで。ね。2人でちょっと、俺らばっかり損してる、とか言ってましたよね。みんな全然、「そんな何?」「えーっ」とかって思ったと思うんですけど。
m 出し惜しみはしなかったつもりだし、恥ずかしいことも言ったつもりだけど、何か、それがいいのかどうかはよく分からないままに、でも、こういうことがあってもいいかなっていうのを、気になったので、
山 そしてそれを学校と呼ぼう。結果として。
m はい。白川さんがおっしゃったように、いわゆる独学しないと、基本的には何でもそうだと思うんですけど、自分で学んでいかないと身にはつかない。まあ当たり前だと思うんですけど。でもそれをインスパイアされる場所っていうのは結構少なくて。呼ばれて、まあちょっと大学とか呼ばれていったときに、アーティストになりたいんですけどどうしたらいいですか?って聞かれた瞬間に、やめたほうがいいかもな、って正直思うじゃないですか。言ったほうがこの人のためになると思うから言うけど、でもじゃあここでお金をもらってる人たちは何を教えてんのかなあ、っていうと、月一回ぐらいしか来ない、話された環境のほうがよっぽど学べるのかもしれないし。そういうのは常々思うことはあったんですよ。でも忙しいし、なかなかそんなチャンスもないし、まあ、なんかでもね。そういうのがこう、山本さんの場合特に、先生もやってたから、教えるとか特に。
山 教える教えられる、みたいな。「生徒からいっぱい教わってます!」「俺らのほうが学ぶこと多いです」って言えばいいんだよね。最後にね(笑)。(そうすると)「いい先生だ!」みたいに言われる。それを先生は最後に言えばいいんですよ。なんだろうな。。。学校って。美術学校で、しかもこんな短期間で、不特定多数の人が来てるっていうときにどんな学校が可能なのかな、と考えた。まず盛りだくさんだったんですよね。今日初めて来た方に説明すると。mamoruくんは自分のリサーチを粛々とやっている。ちょっとずつ、mamoruくんが、「これが風」とか言って、空から飛んでみたり、ボートでふわーっと行ってみたりするのを、ちょっとお前らもやってみろ、ぐらいの、一貫してそんなかんじ。
m あの、一日目に早速集まってもらって、8時45分に集合して、それで賀露海岸っていうところに行って、「ヨットをまず、やります」と言っても、やるのは僕だけなんですよ。僕はもう気合入ってるし、全然楽しいし、前の晩からウキウキしてるし、「天気いいなあ」「もうちょっとしっかり水着持ってきなよって言っときゃよかったなあ」という状態。一方みんなは「これどうなるのかな」と思ってただろうけど、悪いほうの予想通り、「あっ海岸で待たされるんだな」と気づく(笑)。僕もそこは不安ではあったんですよ。ただそんなこともあってもいいかなと思って、その時にストレスになって「こんな、いきなりこんなほったらかしでやってられません」って怒る人がいてもいいかもしれないし、それで僕に対して「何なんだあの人、自分だけ」と思ったり。2時間ぐらいやってました僕?1時間半ぐらい?えっ、そのくらい? 佐々くんもその時点ではどっちかっていうと、「何なんだよあの人」って言ってたよね。
佐 まあ、そうっすね、なんか。あっ、そういうかんじねーみたいな。
山 ヨット乗って楽しい俺、みたいなやつよね。
佐 と思って、砂浜の奥の方に一人で走っていって、ちょっと熱中症になって帰ってくる、みたいな。
会場 
m その熱中症の恨みが俺に乗っかるみたいなかんじになって、、、、あれなんか佐々君、機嫌悪いなあ、、、まっ、そうだよね。
山 みんなもそうだった。ちょっと機嫌悪かった。
m そう。でも一人ぐらい海に入ってて、ああ良かったなあ、分かってる人もいると思った。いろんな興味の持ち方があると思うんですけど、その時に、大人なのに、しかも私たち受講生で来ているのにそれをほったらかしてまでやりたいヨットって、あの人にとってなんだろう。
山 そこまで考えさせる?
m そうなんですよね。そういうインプットだったんですよね。一個ばらしておくと。ひどいなと思うと、何がひどいのかなって分析してほしかったんですよね、はい。多分。でももしかしたら誰かは、その時に、あまりにも暇で、ここの浜はどういうところなんだろうとか、まわりにいるお客さんを観察したりとか。強制的にではないけど、あまりにもこれどうしたらいいのか、っていう時間をどう使うのか。そこでもうなんかふてくされて、ただ暑い中、みんな影にも入んねえんだなあと見てたんですけど、影がなかったんですよね。すみません。僕もあれ初めてなとこだったんで、影ぐらいあると思ってたんですけど。
山 下見しとかんと。
m でもそこでさっき言ったなんか、独学っていうか、なんか待たされてただ嫌なかんじで終わるのはいやだから、拾ってやろう、石とか積んでやろう、隣にいる人とちょっと仲良くする時間にしよう、とか。でもそういうところにクリエイティビティって働くと思うんですよ、なんか。じゃないですか?
山 ものはいいようですね。
m はい(笑)。僕の最初の言い訳終わります。
山 ものはいいよう。
佐 ものはいいよう。
m ものはいいよう。
山 いろんなね、見え方がするよっていうことですよね。
m ありがとうございます。
山 そらから夜の散歩がありました。三宅君とその後しゃべったんだっけ。
佐 これ喋んなかったっすよね。
山 喋んなかったすよね。
三 喋んなかった。喋んなかったですね。
会場 
山 からの、夜の散歩?
佐 今から通していくみたいなかんじですか?
山 振り返り。だから、サクッと振り返ろうかなと思います。なんだったのかな、っていう答え合わせ。答えなんてものはないんですけど。
佐 「夜の散歩」はさらに「夜の散歩2」と称して2日間にわたってやりました。
山 なんだったんですか、あの授業は。歩いたりして?
佐 みなさんで自分の声を吹き込みながら、宿泊していた「ことめや」というところを集合地点として、ふらふらふらっと好きなことを喋りながら、自分で考えたことっていうのを喋りながら好きなところに歩いて行ってください、終わりは自分で決めていいです、というものが1日目にやりました。1日空けて2日目は、自分が歩いたところを自分の声を聞きながら、地図に落とし込んでいく。どこを歩き、何を考えてたのか、何を言ってたのか。まあ、何も言ってない時間に何を考えたのか、みたいなことを含めて。
山 それが2日目。
佐 はい、それで今度は他の人の地図と音声を持って、聞きながら、見ながら、歩くことをやりました。
山 成果発表の会場に(地図が)展示してあったよね?
佐 1枚展示してあったかな。
山 ぶつぶつ喋りながら歩いて、その歩いたルートをマップに落とし込んで、マップをみながら誰か他の人がぶつぶつしてた録音を聞きながら、もう一回歩く、っていうのをやったんだよね。
佐 そうです、そうです。
佐 実は、この時間に何をやるかについて、僕はぎりぎりまで考えてやってたんですけど。結構強烈なことが日々起きていって、日中はこんなに暑い。さらに鳥取でっていうのもあって。しかもみんなで集団で移動するっていうふうになったので、ひとりで、自分で考えることそのもの自体を考えるっていう場を、それは普段自分が夜の散歩でやってることでもあるんですけど、そういう時間が作れたらいいなと思ってやりました。実際喋ってみたりすると、自分が考えてることって言語化するとこんなもんなんだ、とかいうことがもう結構さくっとばれるっていうのが、僕の夜の散歩の経験でわかっていました。僕なんか普段酔っ払ってるから、もっとひどくて。えっえっ、とか言ったり、喋ることがなくなると、見たものただ言うだけになってきたりね。
m ちなみにその録音はいつ聞きなおすの?次の日とかに聞きなおすの?
佐 そうそう、どこかへ行くときとかだったらそうなります。でも、まあ普通にストックしてるだけなんです。それがひょっこり作品に召喚されることも、あります。
山 くらっー。くらーい。
m 何も言ってないっす。
佐 何っすか!?
m 何もないっす。
佐 根暗って言ったんすか?
m いや言ってないっす。言ってないっす。
会場 
佐 だから、人の電話とかも結構録音したりとかするんすよ。
会場 
佐 録音しがち。
会場 
山 やばいやつだね。
m けっこう引いたよ。
佐 だって今だって録音してるし。一緒ですよだから。特にあんまり裏も表もないですし。
m 電話を勝手に録音するのは…
佐 違うよね?
山 そういえば、あのシンガポールで見た作品も、彼女とね、仲良くね。
佐 そうですね、あれも盗撮。
山 イチャついてるかんじの盗撮してますよね。
佐 ちょっと引いた、俯瞰してみてるいちゃつきみたいな。(沈黙)まあそれは、僕のことなんで。
会場 
山 みんな一人ひとりが楽しんでるくらい、だけ、だったもんね、夜の散歩。
佐 そうなんっすよね。
m 夜の散歩が結構楽しかったっていう受講生、手挙げてって言おうと思ったんだけど、結構軒並みいけるかな、って思って。
山 ちょっとこわーいってやつね。そういうのか。
佐 そういうのです。でも、実は、なんか気持ち悪かったりすると思うんですけど、一方で、なんていうんですかね。内容ももちろんあるし、そこにどういう感情があるかっていうのもあるんだけど、もうちょっと植物的にというか、何を考えてるのか、何を受け取ったのか、っていうことと、それが言葉としてどうやって変換できるのかっていうことって、全然スムーズにつながらない部分で。それっていうのを録ってもらったと思うんですけど、そこに一体何をもって書いてるのかっていうことが、そもそもまず、自分の体の中で起きてますっていう、というか、起きがちっていうのを体験する。そんなに深く考えるというよりも、人がどうなってるのか見ながらできたらいいなあ、と思ってやったプログラムでした。
m 結構でもこれはあの、肝だったですよね。全部をこう、貫いていく要素を生み出してくれたなと、思って。
山 これに参加してるのは自分です、っていうのをもう一回再確認できるっていうか。
m 結構インプットの連続じゃない、もう、1日目も2日目もこれやってあれやってここ行って、あそこ行って。で、しかも何か、アートのアの字も出てこないですし。
山 出てこない。
m 日程の中頃に受講生との面談があったんですけど、「こういうところに来たんだっけ」「どこに来たんだろう私は」みたいな宙吊り感覚みたいな話が、ちょいちょい出てましたけど。ま、それを、消化できないまでも一人で考える時間となった。
佐 それはよかったですね。ただ、実際何が起きたかは分かってないんですよ。僕は歩いてないし。シャッフルしただけだから。実際はよく分かってない、っていうのも、言っておきたいなと。
m いや面談で結構ねえ。
山 うん
m みんな、あれがよかった、っていう。
佐 あーあ。
山 みんな明らかに夜の散歩大人気だったっすね。
佐 大人気だったんすね。イェーイ。
m 途中で、ちょうど折り返し地点で面談があって、僕と山本さんが、一人ひとり。
山 職員室呼び出してね。
m そうなんすよ。そん時に、あれがよかったです。何がよかったの?みたいな話を聞くと、まあ、伝わってるような、伝わってないような。
山 だよねー。
m あ、言うの忘れてた。
山 よかったねー。
佐 そんなかんじでした。
m えーっと、まあ、その、僕が「風を知るために」っていう要素を提案して、やりたかったからやって、みんなもやったらいいじゃん、と思って。で、山本さんは、その、まあ実質2日目なんですけど、8月11日はマックス山本Dayでした。
山 スーパー山本Dayだったんですけど、もともと2つに分けてたんだけど、お盆だったので調整が難しくてこの日に両方やらなきゃってなったんですよね。だから、1.5期生が加わってからどちらかをやるっていうふうに思ってたんですけど、やれなくなっちゃって。ひとつめは鳥取と岡山の県境にある人形峠に行きました。そこのウラン鉱山跡地にいろんな施設ができてて、もう跡地だから何もやってないのかなあ、と思ったら、意外とまだ何かいろんなものが稼動していて、その敷地の中にある元鉱道やPRセンターという場所を訪問しました。その建物には「教育棟」って書いてあったね。そこで、ブラックライトで照らしたら光る石とか。あれもたぶん、あの、あれをね、塗ってるなこれ。
m 蛍光塗料ね。
山 蛍光塗料塗ってるな、っていう感じのものがあった。
m 山本さんの見解です。
山 はい。これはあくまでも、僕の個人的な見解なんですけど、ここ鉱山でもないな、と思いましたね。鉱山に空気とかを運ぶ空調用のなんか横のところみたいなところに入ってって、仰々しくヘルメット被ったりとかして。
m しかもバスで移動するんですよね。
山 そうそうそう、中では自由に歩いたりできない。施設内に入るときに「ここには日本人しかいませんよね」って確認されて、それぞれの住所、氏名、年齢全部そこにお知らせして、身分証明証見せて、ヘルメットを被って、その鉱山に入りました。ヘルメットがちょっと頭高いので、そのヘルメットで頭ぶつけてる人が何人かいて、ね(笑)。
m そうっすね。
山 あれなかったらぶつかんなかったねーっていう話を。で、その入口のところに、アルミのパイプがぽんぽんぽんってあって、そこに木が生えてる。なんかなんとか草って。
m 常緑麒麟草です。
山 常緑麒麟草っていうその新種みたいなのがあって、それ食べれますよーみたいなこと言われて、そうですかーってmamoruくん食べたの。苦いですね、みたいな。
m ほんとに食べれるんですか?っつったら、もうなんかこう、目に力が入った状態で食べられますって言うから、じゃあ食べてやろうって思って食べたら速攻腹をこわしました。
山 それなんか、遠心分離機っていう、核物質をなんとかするようなやつの、再利用らしいんですよね。そのアルミのパイプは。
m で、完全に洗浄されてるっていうのが売りなんですよ。だから、常緑麒麟草も育つっていう。
山 そうなんですよね。90何パーセントはきれいにできます、っていう話だったんですけど、 100%じゃない。
m ねえ。
山 まあそんな場所に見に行って、いろんなその、そこで僕が見たかったのがね、あの、青森のほうに十カ所、あっ、六ヵ所か。
佐 六ヵ所。
山 六ヵ所何とかセンターみたいなところに行ってみたりとか、陸奥何とかセンターみたいな。陸奥って原子力の船が壊れちゃって、帰りたいよーってなってたけど、こんなのやだよーって、帰れなかったんですよ。で日本中ぐるぐるぐるぐる回っていた船があって、じゃあここで停まっとけーっつて停まってた場所が博物館、資料館みたいになってるのかな。そういうのがあったり、六ヶ所村の再処理工場みたいなところにもPRセンターがあったりだとか、そういう場所を以前見に行ったとき、ほんとに展示物に対する愛がないなと感じたんですよね。下請けがやっつけでつくったみたいな感じがして、やばいぜもう、「原子力発電?すんげえいんだよねー」みたいに、なにか欲望みたいに「みんなこんなにいいんだからやろうよ」っていうのをPRしてるのかと思ったら(そうではなかった)。それだったらそれでなんかちょっと、いい悪いは置いといて、すげーと思えるじゃん。実際は結構やっつけな感じがした。請負の代理店仕事です、みたいに、愛せない展示だったんです。それが美術の展示と違うな、違うんだけど、どう違うのかまだわかんないなあっていう思いがあった。それで今回、鳥取にも六ヶ所村のPRセンターのような施設があるようだったので、行こうと思いました。現在は閉館しているるところを予約して開けてもらったんですけど、思いのほか担当者が語ってくれましてですね、小一時間くらいいろんな話をしてくれました。その話はまた受講生の人に聞いたほうがいいよね。またあとでね。こんな話だったんだよね。あんな話だったんですよ。それはへーなんですよ。帰ってきたのが午前中。実は30分遅れてきた子がいて、ちょっと押しになっちゃったんですけど。
会場 
山 よかった間に合って、って言ったんだよね、あいつね。
m 本人は、今日は間に合ってよかったです、言ってたんです。
山 待ってたんです、30分ぐらい。
会場 
佐 間に合ってなかったですねー。
山 間に合ってなかったですよ。全然間に合ってないです。で、後半戦にやったのは、いろんなディーラーさんにご協力をいただきましてですね、レクサス、ヤナセ、スバル、ヨトヨタ。4つのディーラーにみんなでグループ分けして、何か車を買いたいという設定で行って、営業トークをリサーチしてもらいました。受講生にはそのそれぞれの会社の社員になって、僕に営業するんです。実際僕が「最近ちょっと車10年くらい乗って、もうそろそろ買い替えかなあ、窓も開かなくなっちゃったなあ」という状況があったので、どの車を買おうかなあ、っていうのをみんなにちょっとこう聞いてきてっていうことから考えた。結果、断然レクサスに乗りたくなりましたけどね。
m ほー。それはちょっと、初耳ですよね。
山 はい。スバルもいいかなあ、うんうん…そうです。いろいろ全部いいですね…。
m (笑)
山 その、要するに、いろんな企業のね、企業によって売り込み方が違っていて、トヨタだと家電っぽいかんじで売るとか、スバルだったら走りだよとか、レクサスだったら塗装が違います、みたいなね。あと15万払うと、もっとピカピカになりますよ、みたいなことを言ってたりとか。おもしろかったですね。
m 最終的に行った先の営業方法だったりとか営業スタイルだとかを吸収して、山本さんに、何日後でしたかね、2日後に車を売りつけるっていうかたちのワークショップですよね。
山 そうです、そうです。
m そういう仕組みでしたよね。
山 そうそう、僕も普段忙しくてディーラーとか回ってらんないんで(笑)。
会場 
山 この機会にみなさんに下見とともに、できたらいいなと思ったんですけどね。でも、ベンツ何シリーズでしたっけ?Cでしたっけ?
佐 E?
山 Eですから、七百十何万円。普通には買えないですよね。シートが自動で動きますよ、とか。あと面白かったのは、レクサスには助手席に手鏡があるんだよね。これは隣に座ってる人がお化粧直しするように手鏡がついてるんです。スッて取れるようになっている。でもお化粧品持ってたらさ、容器をパカッて開けたら鏡ついてますよね。このシチュエーション何だ?っていうのが。でもそれが結構売りなんですよね。それを富士スピードウェイ研究所の人達に聞いてきた、っていう体で。
m レクサスカレッジ。
山 レクサスカレッジ。
m レクサスカレッジね。
山 そんな話だったよね。
m 最初の2日間はもう、インプットインプットインプットで。
山 だってもう2日しか経ってないのに、5つもやってますもんね。その後の夜のクロストークでも結構がっつり話したよね。
m もう記憶にないです。
会場 
山 がっつり話しましたね。
m それで実質3日目の8月12日には疲れも溜まってることもあり、といいつつ僕は朝、ボートに行ったんですけど。で、山本さんのその、ディーラーに行った経験を振り返ることを朝やったんですよね。この辺から結構、折り返しですね。僕らがもう「みんなどう?」っていうのをどんどん。
山 そうそう。(受講生にとっては)知らんがな、っていうことなんですよね。僕のその気持ちを表現するやり方を教えてもらおう。でもないから、俺こんなかんじなんだよね、ってとりあえず乗っかってきて、っていうのが今回の、作法っていうかねえ。で乗っかったものをどうしようかな、っていうので、午前中2日間は、ディーラーの営業の練習?
m そうですね。
山 リサーチと練習の時間になりました。午後からは、さっきの佐々君の「夜の散歩2」で、人の話をイヤフォンで聞きながら、また同じルートを歩くことをやりました。
m なんとなくこのあたりで、「何やるんだろう」って本当に(受講生達は)思ってたかなあと思うんですけど。こう、アップアップしながら、当然みたいにやってくるかんじ。この2人の興味が強いのは分かるけど、実際のところはなんだか、わかんない。「共感してんのかな俺」みたいな。「風、まだぴんと来ない」「私車って正直、興味ないです」みたいな(笑)。
山 そう「俺だってお前に興味ねえよ」っていう話ですよね。
m 僕はトヨタのチームと一緒にリサーチに行ったんですけど、ハイブリッドの説明でみんなが感心してるの聞いて、それ、そこ!?と思いながら撮影してました。そ、そこ?
山 20世紀、21世紀。
m そこ!?山本さんに対してそれはセールストークにはならないなあ、と思いながら(笑)。
山 かわいらしい、ですね。
m そうですねー。はい。
山 ほいで、ここまで淡々と進んで行くんですよね。で、この1期生が2泊3日コースの1.5期生と呼ばれることになった人達と合流するときに、どうしようかな、となった。オリエンテーションをもう一回ゼロからやって、みんなで自己紹介するということもあるだろうけど、それに2時間使うよりは、1期生がこの学校のことを紹介して、何を学んだのかを教えてあげる、ということに。つまり1.5期生にこの学校のことを説明するのを僕ら(先生たち)はしませんよ、っていう無茶振りをしたんですね。この日がすげえんだよな。とにかくこの8月14日は僕にとってちょっとトラウマっていうか。すごい日ですね、この2015年の8月14日っていうのは僕も一生忘れない。
m 前日の8月13日にね、その準備をやって下さい、っていう発表があって。
山 でも「僕らは知らないよー」って、バーでぐだぐだしてましたね。
会場 
山 チェリーズバーで、チェリーさんがいないバージョン。そうなんです。この日、運命の14日。決戦は金曜日8月14日。
m あ、ほんとだ。
山 そうですよね。この日何があったのか。最初の午前中、前半戦に1.5期生のチェリーさんにあの日一体何があったのかを聞いてみましょうか。
m なんでかっていうと、僕らは、その1.5期生へ向けたオリエンテーションは参加できてないんですよ。できてないっていうか、できなかった、うーん、しなかった。
佐 オリエンテーションで何が起きたかは、ディレクターの2人は見ていない。
山 一回聞いてみたいです。チェリーさんどうですか。
チェ えっと、1.5期生ということで2泊3日組みが最初から参加していた1期生に合流したとき、まず横田医院に集められて、1階の入口のところで、これから何をするかっていう話があるかと思ったら、あの、「俺たち何もやらないし」みたいなかんじでいきなりくるわけです。
m そのスタイルで集合させられてたんだ(笑)。
チェ で、あの、その「俺たち何もやらないし」ということだったんですが、ただその横田医院の建物の中をこれからご案内しますんで付いて来て下さい、って、1.5期生たちはさっぱり意味がわかんないまま連れていかれると、何かうっすら声が聞こえてきて、何とかだと思ったみたいな(笑)通過したときには聞こえるんですけど(笑)。
山 何言っとんだ(笑)。ドップラー効果みたいな?
チェ ドップラー効果というか、横田医院って円形なんですけど、何それって思ったら、廊下の真ん中に少女が立っていて、紙切れを読んでいる。
山 声が通んないんだよ。
チェ 声が、通らないから、前を通過した瞬間しか聞こえない(笑)。「私の体験は…」みたいな(笑)感じで、なんだか分かんないけど気になると、思ったら次に暗闇の部屋に押し込められて、めっちゃ狭くて真っ暗な部屋で、「私が体験した怖い話なんだけど」「ほんとにあれって怖いよね」みたいな、めっちゃ怖い話を聞かせてくるんですよ。守護霊的な話で、なんだか足元に人が横たわってるような妄想に捉われて。
山 ああ、分かる。怖い。
チェ 怖かったです。でも目は慣れてきて、外に出て行ったら、また次なる刺客が待っていました。その刺客が私たちを明るい部屋に案内してくれたんで一安心したら、いきなりちょっとこの紙切れをちょっと読んで下さい、って言って、何かsayhoみたいな。ヒップホップによって、俺たちが体験した体験を「何にもないならないで何か(ラップ)」みたいな。
会場 
チェ 私たちも練習させられて、ヒップホップが上達したら、今度はさらに上の階へ、どんどんとにかく、体内めぐりみたいに登らされて、今度は交換日記をしてくださいと言われました。その部屋で、「来てからここまでの体験を交換日記してください」ということだったので書きました。
m 1時間半ぐらいやったよね。着いてからね。
チェ そう、ついてから1時間半なのに、いきなり今日の日記を書かされて、あっ、その前にさらに不思議な部屋があって、それぞれの体験が、8月のオススメの本とかいう小部屋があって、なんかオススメの本とかいいながら、それぞれが体験した手記が、紙切れとかノートとかが置かれてて、何か分からないんだけど、何か切実な何かがあったっぽいんだよね、っていうのが伝わってきた(笑)。ヒップホップ、8月のオススメ書籍、日記を交換させられて、その後山に登った話をしてくれたら、横田医院の一番上に登っていく途中でほんとに山の挨拶みたいなかんじで、「暑いですねー」みたいな山の挨拶みたいなのがあって、「あっ、山かも」っていう気分に捉われたら屋上に行って、フレッシュなエアーを吸って、それでじゃあそろそろ帰りましょう、っていう瞬間に、何と12時の鐘がなったんですよ。で、すごいなんだか、どういう仕組みですか!っていうのが(笑)
会場 
チェ 奇跡が起きて、体内めぐりみたいだった、っていう感想です。
山 うさぎおいし〜だよね。てーてーてーてー♪だよね。
m メロディー
山 メロディーラインがある。
m っていうのがまあ。
山 それがまだ最初です。
m うん、受け手側のね。
山 企画した側にも。
m そうですね。まあ、今聞いちゃったけど、何が行われたかっていう、受け手側が何を受け取ったかさっき聞いちゃったけど、発信側は何を求めてたのか、っていうのはちょっと、聞きたいですよね。
佐 2人ぐらいに聞きましょうか。
受講生S とりあえずまず、先ほどおっしゃられたように一人ひとり面談があったんですよ。オリエンテーションで何をしたいかみたいなのがあって、それで一人ずつ私たちは案を考えて、一人ずつ行って、面談するんですけど、すぐに終わった。面談が終わってのんびり過ごしてたら、夜の9時半ぐらいでしたっけ、9時頃だったかに「じゃあこれから9人の案をまとめて、オリエンテーション何やるか考えて」と言われて、次の日の朝10時がオリエンテーションなんですよ(笑)。
山 そこで知ったんだ!
受講生S そう、そこで知ったんですよ。「9人の案をまとめてください、15分したら聞きに来るから」って言われました。そこでバンって(課題を)投げられて、「わあどうしようどうしようどうしようどうしよう」みたいになって、でまあ、当たり前に15分間じゃまとまらず、結構、最終的に何やるかもあんまり決まらないまま夜中の11時頃を向かえてそこから各自の準備。今(チェリーさんが)話された真っ暗の部屋の怖い話だったり、ラップの部屋っていうのは、各自が出した案を、こう、どうにかこうにかツアーとしてまとめようとした結果、そのごちゃごちゃしたものになってしまったんですよ。だけれども、何かその案っていうのは一人ひとりが前半の4日間の中で体験した思いだったり、体験だったりっていうのをどうにかものにしようとしていました。1.5期生の方たちにはとりあえずよく分からない、みたいなのを体験してほしかった(笑)。
m あとハイスピード感ね。
受講生S ハイスピード感(笑)。とりあえず、何かわかんないけど、こんなことやってる。一緒にやろうぜ、みたいなことをやりたかったです。もう完全に12時のチャイムは奇跡。
山 いやいや、でもね、アートの神様たまに微笑むよね。
会場 
山 頑張ると微笑むよ、あいつ。
佐 もう一人ぐらい、こいつにしゃべらしとこうみたいな。
受講生Q じゃあ、ラップやってもいいですか?校歌。
チェ ゆうちゃん紙切れ持ってない?
受講生Y ラップ?紙持ってないですね。
佐 でも頭に入ってるでしょ。
m できる範囲で。さすがみあきちゃん。紙持ってた。
佐 校歌斉唱。
m すばらしい。
山 校歌斉唱―(ラップっぽく)
m 校歌斉唱―(ラップっぽく)
数人 ギブミーエース
受講生Y ギブミーシー
会場 ギブミーシー
受講生Y ちょいちょいちょいちょいちょいちょいちょいちょいちょい
会場 
受講生Y 音読じゃないですか。
会場 音読(笑)。だめですか?一緒にやりたい。
佐 こないだ知ってる。30分やったでしょ。
m 巻きでお願いします。
受講生Y ギブミーエス。
会場 …ギブミーエス。
受講生Y じゃあ、ギブミーエスだけせーので言って、あとギブミーシー、ギブミーエイチ、ギブミーダブリューオー。覚えてるところお願いします。最初僕一人で。
会場 全部言ったほうが。
受講生Y ギブミーエス、ギブミーシー、ギブミーエイチ、ギブミーダブリューオー。ギブミー  オブトットリ、トゥトゥリ、まだ途中、…的なラップです。
会場 
m やってる間に一つ、もう一つ間をつないでおくと、交換日記というのがすごく不思議な要素としてあったんですよね。あの、2分で。
受講生D はいはい。建物自体その、ほかの受講生の方がこれまでの数日間のことを思い出しながらいろんなことを企画して体験させたと思ったので、それを交換日記に書けば、体験の体験を共有できるのではないかと思って、そのやりました。で、日記というのは、交換日記というのは、自分のために書くんじゃなくて、誰かに対して書くっていうのがおもしろいと思って、それであの、その同じ経験を共有してるんだけど、全くこう、考えてることとか思ってることが違うっていうのは、この1週間でおもしろかったんですね。で、それで、交換日記を。
m だから何をやったのか!
佐 仕組みを。
受講生D まずですね、来ていただいた新入生の方に、この建物での経験を日記に書いてください。で、これはただの日記じゃなくて、交換日記なんで、誰かに対して書いてくださいといいました。
m 4人いたんですね?
受講生D 全部で、4人です。僕も入って6人。で、はい、全員書きます。で、書き終わったら、別の人と交換して、その人に最初の返事を書きます。で書き終えて、また、シャッフルして、はい。それは一回目も二回目も持ってないものを持って、それで読んで、で、まあ一人目二人目って書かれてて、で、2人目の方のコメントに1人目になりきってコメントをする、っていうのをやりました。で、最後にまたシャッフルして、またこう、一回も持ったことのないノートを読んで、それで終わりました。
m その、一人目になりきるっていうところが、うん、いいですね。考えたよね。
会場 
m ちょっと、佐々くん的な。
受講生D そうなんですよね。かなり、オマージュをさせていただきました。
会場 
山 デリケート
m はい、ありがとうございました。(ラップは)準備万端でしょうか?
受講生Y 準備万端でーす。
山 お願いしまーす。
m イェーイ。
チェ 一行ずつ読めばいいの?
―音楽流れ出す―
受講生Y&チェ ラップ♪
m ちょっと恥ずかしいのはなんだろう(笑)。
山 こんなんがあったんですね。みなさん、まだ終わってないです。その日の午前中。魔の14日の。
m 魔の14日は、そこでオリエンテーション完全にされた状態で、はい。で、あれですよね。
山 車を売り込む寸劇を、ことめやの1階の部屋をディーラーにしましてですね。
m ちょっとした応接間みたいなのがあるんですよ。あの、旅館の奥みたいなところに。で、妙なシャンデリアがぶら下がって、で、講師陣も結構、夜な夜な職員会議でどう演出するかっていうのをまあ、正直いろいろ考えてたんですけど。山本さんがあのセールスのやつどこでやりますかとか言ってたんですけど、ここしかないみたいなところがあって、で、ちょっとね、小道具っていうか、盗み聞きみたいに。
m はい、盗み聞きスタイルにしよう、っていうことで、応接間に、マイクを置いて、みんなは中庭をはさんだ部屋でスピーカーから流れてくる会話を聞くという仕様にしました。
山 そう、メディアです。
m (笑)
山 メディアアートです。完全にメディアアートです。
m メディアアートです。
山 メディアアート芸術祭です。
m アイコンがないとできないやつですね。
山 Wi-Fi飛んでましたしね。
m 2015年的。
山 そうです。ほんとそうです。で、そこでまあ、だからみなさんお気づきでしょうか。生徒、第1期生の子達はね、午前中と午後、1日に新しいことをふたつやってるんですよね。大変ですよね。オリエンテーションやって、またすぐ自分達が動いて、ディーラーで車を売るっていうこともやらされるっていう。
佐 1.5期生には結構楽しい。
山 1.5期生はへぇーみたいなかんじ。
佐 1期生にとっては地獄のような日。
m スーパーエンターテイメントされてる側と、してる側。
山 そうですそうです。それでもう、それでお昼食べたんですね、どっかでね。お昼ごはんを食べて。そのあとにヨットに行きましたね。
m はい、立て続けに出し切った状態ではっきり言ってもうしんどいっすっみたいな状態なんだけど、ようやくヨットに乗れるよ今日は!
山 ヨットに乗らせてもらえる。
m 果たして、この日が正解なのか!?でも天気も味方しまして、初心者に優しい風が、ぎりぎりある状況で湖山池へ行きまして、3艇ヨットを出してもらって、そのうちの1艇は僕が乗り続ける(笑)
山 ずっとスイー、スイーって行ったり来たりしてるんですよね。楽しーつって。
m 実は前日の朝にも僕ひとりで行く予定だったんですけど、すごい天気悪かったんですね。電話するともう今日はあきらめましょうと言われたので、この日は僕やる気満々でした。僕の先生の新家さんと彼の奥さんがみんなを乗せるヨットを出してくれたんですね。
山 ものの5分くらいでしたよね、乗ってる時間は。
m あ、そうなんですか。
山 10分ないぐらいですよね。
m やっと乗ってみてどうでした?
受講生H 発表が立て続けにあってものすごく疲れてたんですけど。でもなんか、ヨットの着替えをして、池に着いて、ヨットのスイスイ滑ってる様子を見てたら、乗りたいっていう気持ちがものすごい強くなって、乗るときはすごいはしゃいでました。なので、疲れたんですけどすごい、楽しい一日だったなとは思います。
山 いやまだ1日は終わってないんです。
m 終わってないんです。
山 全然終わってないんです。
m 全然終わってない。
会場 
m で、それで。
山 日が落ちまして。
m はい。
山 そこから赤井さんの弟が召喚されまして。ダッチオーブンを持って来てくれまして、みんなでがっつりバーベキューをやるっていう会が始まりました。その間、釣りボーイズは、ハンターボーイズというお笑いコンビを結成しまして、僕らは湖山池で釣りをしていましたね。準備もせずに。結構釣れましたよね。食べましたそれも。バーベキューで。おいしかったね、あれ。スズキのちっちゃいやつ。もういいや。それで終わりじゃん。
m そうですね。
山 そんなにやってないじゃんね。そうやっていうとね。
赤 トーク。トークやりました。
山 もちろん。その後だから、トーク、感動的なトークがあったよね。
m そうなんですよ。僕はこういういろんな専門的にやってる人の話を聞きに行く機会は多くて、知りたいんで聞きに行くんですけど。そのトークのゲストである新家さんは全日本のチャンピオンになったことのある、鳥取が誇るヨット乗りなんですよ。爽やかでほんとにいい感じの人なんですよ。
山 そうですね。
m 僕のヨットの先生だからヨットの上では「ここに乗って、僕がここに乗って、なんかああやってください、こうやってください」と教えてもらいながらも、風を待つ瞬間があるんですよね。その時にいろいろ話をするんですけど、そういう雰囲気で話せたらいいなあと思ってたので、特に何も決めずに「風のことを教えて下さい」っていうかたちでトークをさせていただいて。よかったですよね?
山 あれはよかったですね。
m 涼しかったんですよ、しかも。いい風が吹いて、ほんとは中でやろうとか言ってたんですけど、そのまま外でやっちゃいたくなるくらい。はい。やっちゃったんですけど。
山 あ、思い出した、俺その日もう一個自分の仕事があったんだ。この日。
m 
山 そう、この日締め切りの某書類がありましてですね、この日消印有効だったんです。で、もう、これでフェードアウトしてやろうと思ったんだけど、やれなくて。話がトークがおもしろくて。で、トークが終わってから、あと2時間半だ、っていうところで帰ってダッシュでやって、23時37分消印で送れました。死ぬかと思った。
m あんまりみんなに共感生んでない感じ。
山 共感生んでないですね。そんなことしてたのー、って思ってると思うけど。
m だから地獄だったんですね。
山 おれ、俺が地獄だったのか。
会場 
山 この日、だってまた。まっ、いい、これはまた個人的に話す。
m でまあ、いろいろin progressしてたっていう。
山 昨日は白川さんに来ていただいて。
m 朝にパラグライダーに乗って。
山 朝一からパラグライダーですよ(笑)。
m でもそれは、よかったですよね。
山 よかった。
m それもまた、天候に恵まれまして。まあ暑いだけになるかなと正直思ってたんですよ、僕は。実際朝起きたときに、雲も動いてるしやばいなあと思って、市川さんっていうパラグライダーのインストラクターの人とお話したら、なんかみんなに来てもらって、たぶん傘の下にじっとしてる時間が大半になりそうだなと思ってたみたいなんだけど、行ってみると海からすごいいい風が吹き出した。なんかこう、こんなことがあるんだなっていう、ミラクルが2、3個起きたな、っていう、本当に、あんまり理由がわかんないですけどよかったです。みんなも多分「これか、mamoruがあの、ほったらかしてでもやりたかったこれ、風ってこれか」ぐらいに、もうその時点でつかんでたと思うんですけど、ま、そこで別に言葉はそんなにいらない。一回なんでやねんと思っといてもらって、体験してくれれるのが一番ですね。
山 やさしいね。
m 興味を共有できるかなあと。はい。思ったんですよ(笑)。で、その後帰ってきたら、、、
山 ボスが。
m しかもその、レジェンド。レジェンドにしちゃったけど(笑)白川さんをお迎えする前に、今日この、ラウンドトークの前にあった「オープンキャンパス」というのをやってっていう課題が出ましたね。
山 そうそうそう。なんか振り返りって結局内省的な行為でしょ。ああだったな、こうだったな、みたいな。振り返ってそれを誰かにプレゼンするってなると、うん、なんだったのっていうのがさ、全部、2回振り返りをしてるんだけど、1回ね。その前日の午前中の。内省してるだけでもだめ、とは言わんが、それしてもとりあえずなんか、どうだったのっていうのを一人ひとり聞いていくよりも、それで僕もみたらおもしろいなあと思って。
m 答えたことのない答えだったら、多分みんなこういうシチュエーションだったらこう答えとけばいいみたいな、反射神経で身についてるんですよ。
山 そう、そう。
m でも、僕ら(アーティスト)はそういう反射神経をどうやって切って捨てていくかみたいな勝負をやってるんですよね。だから普段から反射神経を失うためにいろいろやってるんですよ。で、そこで、その反射神経を切ったときに、たぶんこれ以外には全く役に立たない、特に用途のない興味だとか、力みたいなものが、そこでしか生かされないので力と呼んでいいのか分からないですけど、こう、でもそれを知ってやった、みたいな快楽がある(笑)。なんかそういうことを味わってもらいたいなっていうのはあったんですよね。そういう思いでオープンスクールやりますって(伝えました)。実はその前の晩、みんなが寝た後、先生たちは言わないでおこうと思ったけど。
山 言おう。
m やっぱ言おう。
山 言っとこう。
m あの、地獄の14日の夜中に、2時半まで。
山 書類を23時57分に送って、帰ってきた後、またさらに。
m その山本さんが出せたか出せてないか待ってることめやの雰囲気を想像してみてください。どうしていいか。まず、笑顔かどうかだよね。出せなかったらたぶん赤井さんがすっげーいらいらして帰ってくると思うから、みたいな(笑)。
佐 もう、部屋にmamoruさんが入ってきて、「どう?」「わかんない、わかんない」みたいな。
m そしたら、なんか。
山 クイーン
m クイーンかけながら、満面の笑みで帰って来て。
山 ボヘミアン・ラプソディーを。
m 名曲。2番目くらいのやつですかね。
山 そうです。
m まあとにかくですよ、それから、ほんとにじゃあみんなにどうすれば成果発表って言ってるやつが何がいいんだろうな、と話をしました。おぼろげにオリエンテーションあんだけおもしろかったわけだから何か活かせないかなっていうのはあったんだけど。で、なんかキーワードが出始めたぐらいで、もう一回寝よう。寝て次の日の朝、決めて。
山 それ今日じゃん。あ、違うか。
m はい。みんながご飯を食べてる中、まだ職員会議をやっていたところ、白川さんが到着されて、(そのレクチャーのなかで)9日からスクールが始まって初めて、ようやく15日に白川さんの口からアートっていう言葉が出るっていう、すごいクライマックスがありました。
山 そこでアートの語られ方がよかったですね。「ま、何にもできないねー」と。
会場 
山 「何でもいいよねー」みたいな軽いかんじで。
m 講師陣はそこで涙する。それ!それです!っていう。
会場 
山 それで今日を迎えました。まとめに入ろうか。学校について僕なりにまとめると、僕は小学校の先生で教えてた経験があって、山本くんも教えてるらしいし、白川さんも普段先生をなさっています。基本的に学校って、大人が知ってることを子供に教える場所なんですよね。大学もそうでしょう。大学の就職課の人もそうでしょうよ。「こうやるとこうなるよ」っていう話なんですよね。だけどさ、あの、ダークマターの例を出すまでもなく、我々人類はですね、この宇宙の中で知らないことのほうが多いんですよね。8割がた、宇宙全体の質量の8割だか9割だか、かなりの割合は人間には観測できないんですよね。この宇宙にはそっちのほうが多い、みたいなことも分かってるんですよ。知らないことのほうが多いよね、っていうのが真理なんですね。真理っていうか、本当なんですそれが。そういうところに僕たち住んでる、っていう時に、知ってることの中でぐじぐじやってうまいことやる、みたいなことやってる場合じゃないよな、というのがアート。アートとはそこにつながっている。(そういうことを)やってる場合じゃないよね、っていうノリに近いものなのかなあとは思いますよね。数字的にというか、文化的に、言葉的にではなく、感覚として、あっ、知ってることより知らないことのほうが多いよね、っていう気持ちや感じ。知らなーいっていうのはすごく軽くなる。
m 
山 だってそのほうが普通だもん、みたいなさ。そのジャンプの仕方みたいなのを、僕の場合は車、愛の作法っていって、口説きの話に換言したけれど、数値化できないよさとか、原子力とか、知らないことのほうが多いという世界に対してそういう(社会的な)ポジションにいる人たちはどういう振る舞いをするのかっていうのを見たかったんだよね、きっとね。mamoruくんの場合は、自分がほんとにその場に、身体的にそこに放り投げられるっていう(ことをやった)。基本的にみなさん、放り投げ続けられてきたっていうことなのかな、と、僕は思った。そういうことをやったんだなと、いま話していて思い出しました。そんな学校だったらいいな、と思ってやったんですね。僕はね。
会場 
m その放り投げられた状態で、呼ばれてというか、お越しいただいた瞬間に、まあ、白川さんと共有する時間はそんなに持てなかったので、今何が起こっているかっていうことをお伝えする時間はなかったんですけど、どうでしたか?あの、今日受講生の成果発表はご覧頂きましたか?
白 成果発表を見て思ったのは、僕は中高とか大学でも教えたりしてましたけども、基本学生のほうに任せっきりで今までやってきました。で、任せると、結構学生のほうは自分で考えてやるんですよね。中には、たまたまそういう中で、もうちょっとやりたい、とか、もうちょっとやりたいっていうやつが出てきて、ほっとくとそういう学生は、別にこっちは勧めたわけじゃないけど、グラフィックデザイナーになったりとか。
山&m これね。
白 このTシャツを作ったり。ツイッターとかいう文字のロゴをつくったりするデザイナーになったりとか、人によってはそういうふうになるし、もちろんそうじゃなくて、普通に結婚しちゃって、主婦になってる人もいますけども。でも、偶然に会ったりしたときに、「いや、授業楽しかったです」って何十年か後に人から言われると、ああそうですか、みたいなことで、うん、教えることはあまりないですよね。僕のヨーロッパの美術学校の経験だと、先生たちは何も教えない。教えないので、逆に生徒が自分で考えざるを得ないんですよね。で、先生はそれはだめだっていうふうに言わないから、たださっきのドイツみたいな例だと、こいつだめ、こいつだめ、と切っちゃうんだけど、それはその生徒がだめだ、というのではなくて、そのクラスを統括してるその先生の感性に合わないっていうだけなんですよね。だから、あなたがだめだって言ってるわけじゃないんです。あなたはこの私の統括してるクラスの中になんとなく感性が合わないから、他のところはいいよ、みたいな。だからそういう人は今度はそこの学校じゃなくて、ドイツの場合だと他のドイツ中の美術学校に行けるので、そこで自分の方向に合う先生を探して、そこに行けばいいんですよ。なかなか日本はそういうふうに制度がなっていないから、一つの大学でぽんと首切られちゃうと行き場がないんだけど、向こうだと自分のやってることを理解してくれる、あるいは自分の好みに合うような先生を探して、その先生のところに行けば、また道が拓けていく。でもアートというのは、そういうことなんで、さっき(山本さんが話したように)数値化できるものじゃない。そういうことですね。ちょっといいですか、別なこと言っても。
m 言ってください、はい。
白 僕がフランスの美術学校に行ってたときに、フランスでも絵を教えてる先生とか、美術大学の先生、ボザールの美術学校の先生がいて、その先生が思い出の一つとして話していたのは、例えば、風景を描いてる絵があるとします。まあ、彼のお父さんがロシア人で有名な絵描きだったんで、ロシアで革命があるときに、シャガールやスーチンと亡命してパリに逃げてきて、エコールドパリの中にいた。親父について絵を描きに外へ行くと、親父が風景を描いてるのを見て、例えばこう教会を描いてるわけですよね。で、子供ながらにその親父に言ったのは、「お父さんは向こう側の風景をたしかに書いてるけど、教会はここにないよ、目の前にないよ」って言ったら、「いやこっち側には教会あるだろ」と言うんです。確かにこっちの後ろ側には教会がある。自分が描いてる絵の中に、風景の中ではこっちの教会はここにあるほうがいんだよ、みたいな、そういう話をするわけですよね。だから普通小さいときに、目に見えたものだけを写真のようにきちんと書けることだけが素晴らしいっていう考え方の中だとインチキやってるわけですよね。うそを描いてる。でも、ある絵画とかそういう世界、イメージの世界っていう中では、何がより本当かっていうか、その人にとって何が本当に真実、より真実なのかっていうのはまあ、その風景の中に、そっちにある教会がこっちにあるほうがより自分にとって真実味があるっていうんだったら、それを描けばいいだろ、っていうことなんですよね。自分のイマジネーションとか自分の感性のところで、フィーリングが導くものを選んで描くっていうことで、必ずしも目の前に見えたものを100%写真のように描くことだけが真実ではなくて、いろいろなイマジネーションの組み合わせも真実だということ。僕がついてた先生はそんなことを言っていて、だから、親父はそういうこと言ってたんだよな、みたいなことや、また別な話だけど、その教師と一緒になんかやったことあるんですけれども、そうするとこう、たまにその教師が「この木を美しいと思うか」みたいなことを僕に聞くわけですよ。だから、うーんまあ、きれいといえばきれいだけど、触ってみなきゃわかんないところもあるだろう、って手で触る。木の状態。皮膚っていうか木の皮を触ったりして、やっぱり対象と自分がこうつながるっていうとおかしいけれども、そういう中できれいだなとか美しいなっていうのを感じること、そういうことで初めて、表現できるんじゃないの、と言われたりとかしましたね。あんまりそういうことっていうのは日本の美術学校とかで教えてくれることじゃないんだけど、向こうはむしろそういうことが重要なので。その、写真みたいにすごい能力があってパーっとこう、描けること、それはそれ、生まれつきそういう能力のある人っていると思うんですよ。でもそれだけじゃなくて、自分が感じる対象に対して、フィーリング、感覚、さっきのそういうふうな言ってた話、その世の中に起こっている出来事とか、人との出会いとかいろんなことですよね。そういうところに自分のフィーリングにもうちょっとこう自分の気持ちを近づけていくと、すごくやっぱりそこで見えてくるまた別の世界があるっていうか、そこの中で自分にとってのすごく信じられる、あるいは信じたいと思っている、あるいはきれいだと思える、あるいはほんとだと思える何かがこう、ある。それがすごく個人的だけど、昨日僕が言ったみたいに、日本語は僕が発明したわけじゃないっていうのに近いその部分っていうのはすごく他の人にも通用する、伝えられる何かの部分だと思うんですよね。まあ、それは何であれ、アートだから、あんまり深刻に考えなくても、自分の気持ちに素直になっていけば大丈夫だと思いますよ。そういうのを学校という中で、まあやり方として学ぶというか、別に作品作らなくてもいんですよね。やっぱり自分で、生きている生き方の中でより自分にとって素直で真実味のあるような生き方を選ぶ。まあ、そういうことだから。すみませんなんか。いいですか。
山 もう、終わりましょう。
会場 
山 そうです。そうでした。そういうことです、ほんと。はい。
男性 今花火大会やってるんですけど。
山 昨日はねえ、屋上で花火大会を見る会がありましたんで、今回ね、横田医院の屋上から花火を見ました。
男性 感想を一言いいですか。
山 別に、きれいだったよね。
m 最後よかったですね。最近ああいうクラシカルな、これぞ花火みたいな、結構色が入ったりせずに、薄いなっていうわけではないんでしょうけど、ちょっと火薬の色で
男性 ごにょごにょ
佐 三宅さんとか何かあの。
m 僕と三宅君は撮影を主に担当で、わりと普段から引いたポジションの
三 そうですね。
m (通称)ポパイなんですけど。
会場 ポパイ(笑)
三 mamoruさんの僕の印象はポパイなんですね。
m いや、最初にね、じゃあみんななんて呼ばれてるのっていう質問をしたときに、三宅くんは「やけさん」になんか落ち着きかけたんですけど、ずっと僕の中ではその、クエスチョンインプログレス的なかんじで、三宅くんなんて呼べばいいかなって思ってたときに、あっ、なんかポパイっぽいなあと思って。はい、ポパイザセーラーマンです。
三 僕は、ゲストハウスをやってるんですけど、今回の合宿がすごい旅っぽいなと思って。単純にあの、1泊2日の人が多いんですよ。僕のとこは。だいたいどこもそうなんですけど。長期で泊まる人の感じ方みたいなのが全然違って、一日目来て、夜いて、次の日砂丘に行って帰るのか、まあ一泊して帰るだけなんですよね。でも次の、2泊3日とか、長期の人はあの、その体験を宿の人に喋ったりとかあるいはそこにいる人に喋ったりとかして過ごしていくんですよね。ちょっと現像される期間があるみたいなその感じがすごいいいなと思いました。今回7泊ですかね。7泊8日の滞在なので、現地で通ってる人もいるかもしれないんですけど、外から来てる人は全然家に帰れない状況ですよね。なんかその感じがすごい、今もなんですけど、帰ってからすごい現像になって、定着して、それが突出していくっていうか。なんかその、これからの時間がすごい濃厚なんじゃないかなと、見ていて思いました。
佐 なんかあの、誰よりもプログラムの内容というか、一番見てたのが三宅さんですよね。お酒も飲まず。
三 そうですね。
佐 今日なんかね、三宅さんの写真がふんだんに使われてる。
三 使われてる(笑)。
会場 
山 確かに。今日の展示ね。
佐 個展みたいになってた。
山 三宅君の個展みたいになってましたね。
佐 でもなんか、気になるなあと思って。別に関係はないかもしれないですけど、何かいろいろ見てた、一番見てた。
三 僕は何かね、僕ら(先生サイドにいる)この4、5人の中では、夜中の会議のときとかに、まあ10分とか喋って、その方向で行こうみたいなかんじになるんですよね。そしたらすぐ共有されるんですよ。たぶんそれはなんかフォーマット、アートのフォーマットがあって、それがすぐ理解できるんですね。でも、こっち側(受講生)の方々はその特訓がされてない人も多いので、えっとじゃあ何分後とか言って発表してもらったら「それさっき僕らが言ったことじゃん」みたいに(そこに行くまでに時間がかかる)。
山 あの時絶対山本先生怒りそうだと思って、やさしい感じでフォローしてくれたんですよね。
三 でもそれが、なんか、結果的に2時間後ぐらいに同じところまでたどり着いたんですけど、そこまでの咀嚼がみんなで議論して、え、「もう一回じゃあ言いたいこと言い合おうか」みたいになって、ようやく到着するそのプロセスがすごいよかったなと思うんです。それは多分、今回の旅も一緒で、今回の展示がどうのこうのっていうよりは、そこへ到着するまでの考える時間だったりとか、プロセスを咀嚼するみたいな、何だったのかみたいなのを考えることができる時間みたいなのがあったことが重要だったのかなと思いますね。
山 では濱っちょもお願いします。
濱 えっと、最初こういう企画やるんだけどという話をもらったときに、キュレーターの赤井さんから、あの、とりあえず決まってるのこれだけだからと言われてもらったのが、このテキストの最初の部分、このチラシの、このテキストだけをもらって、これだけが決まってるんだけど、やれる?みたいな。
会場 
山 よく受けましたねこの仕事。
濱 いや僕、すごい、今、いいんです。内容に反して(テキストは)きっちりかっちり書いてあるんですけど、すごいいいなって思っています。実際この場も7日間ないし2泊3日経験したことを、経験してない人に伝えるっていう場になっていて、みなさんその途中で、そういうことがあったりして、僕もこれが終わって、すごいいろいろ感じたこととかを友達とか、家族とか、仕事仲間とかにどう伝えようか。話すという方法を一番しちゃうと思うんですけど、ラップやったほうがいいのかな、とか、交換日記したほうがいいのかなとか、自分なりのやり方でどう伝えようかなって考えるのはすごい大事なこと。今は難しいことだなとか、100%あったことを伝えるとかって難しいことだと思うんですけど。逆に「こうなんだよ」って伝えた部分がずれても、それは広がってるっていうか。ずれた部分も新しい解釈として広がっていって、いいなあ、って思いました。
m ありがとうございます。何かもう。
山 完璧。
m 今回の、言ったら、代打の切り札みたいな存在だったんですよね、この人は。今だっていう時に打ってくれる。
山 今が今だみたいな。
m 質問もこう、いろいろこう会いに行ったときに質問の機会があるんですけど、そん時に、最後の最後で必ず質問をするっていうポジションで。だから、9回2アウトで、ここで打ったら勝ちみたいなときに濱っちょが行って、すごい球を打ち返す、みたいな。もしくは抑える(笑)。ま、失敗もあるんですけどね。
山 チャレンジすることがアート。
会場 
m 疑わしいですね(笑)。まあ、あの、ちょうどですね、このスクール・イン・プログレス始まって以来の時間内に終わりそうなかんじなんですけど、えーっ、やっぱりこう、卒業のね、課題っていうのがあるんですよ。
山 そうなんですよね、実は。
m なんとなくうすうす。まさかこれで終わるとは。
山 思ってないと思うよ。
m 思ってなかったと思うんですけど、この流れできてね。まだパーティーまで時間がある。ありますよね?そうですね、人生まだ時間があると思うんで、
山 一寸先は闇って言う話もあるんでね。
m そうなんですよ。もう昨日の白川さんの名言集みたいなのを僕は貼り出したいぐらいなんですけど、その中で、ほんとにすごいインスパイアされたことがいくつもあって。で、さっきの絵画のお話がありました。この時にぴんと来た。で、今ここに。
山 書いてありますね。
m 一個課題出していいですか?
山 オッケー
m オッケー出たんで、課題を出させてていただくと、あの、今濱っちょからいいパスが出たんですけど、このスクール・イン・プログレスに参加してどうだった的な話を今後誰かにすると思うんですけど。というか、して下さい。で、各地で勝手に、どうだったかっていうことの事実関係もどうでもいいから「こんなことがあったよ」「よかったよ」ぐらいのことを入れ込みながら、さっきの白川さんの話にあった教会の位置関係の話(のようなことをやってみてください)。最初にみんなに「何で来たのこんなところに」って聞いたよね。実際参加してみて、やっぱり「こんなことがあったらよかったな」っていうことがあったかもしれないし、もしかしたら講座以外のことで満足したかもしれない。だから「こんなことがあったらよかったのにな」っていうのが起こったことにして。まあようするに、嘘をついて(書いてみる)。まあ、つかなくてもいんだけどね。
山 普通の感想文。
m そう、普通の感想文とかアンケートとかはたぶん僕らの役にも立たないんで。みんななんか楽しかったです、みたいなやつになっちゃって。クリエイティブな、先生(白川さん)のお言葉をお借りすると、インチキ。
山 (笑)そうですね。
m インチキの感想をつくるっていうのを、卒業の課題に。
白 捏造。
山 捏造。
m 捏造。またいいのをいただきました。
山 捏造。偽造。
m はい。事実である必要はない。そういう。偽装のプロ(佐々さんに対して)(笑)。なんかそこで自分が興味を持ってたこととか、持てたとことか、ねっ、やれなかったこと、やれたこととかをこう、ふくらましたりなんかして、書いてみてください。
佐 それが卒業。
m そうそうそうそうそう。
佐 卒業論文。出していかないと帰っていけない。提出期間は?
m まだ10分あるんで。
山 あ、今だ!
m あと10分。
山 今やらされるの!
会場 
m えーっと、パーティーまでにはまだ時間がある。
山 そうだね。夜は長い。
佐 っということは、自由時間が。
m ここで、やっぱり、時間がある。
佐 時間がありますから。
m あの、何を言ってるか分かりませんでしたっていう人は、あとから、僕に聞いてもらえると、それが最後の課題です。
山 はーい。6時までに。
佐 6時。パーティーが6時からですよね。
m なんかいい話みたいなのをパーティーのときにしたいと思いまーす。
山 というわけで、みなさん、お家に帰るまでがスクール・イン・プログレスなので。
会場 
山 今から6時のパーティーまではそれを書く課題をやって、6時からは盛大に。ピザ窯に火が入ってるはずです。コションドールっていうすごくおいしいパン屋さんが生地をつくってきてくれています。それでピザを作ったり、パンもあるかもしれないね。パンの生地も。ひょっとしたら。ね。
赤 今日はピザです。
山 ピザです。ずっとピザです。
赤 グリル料理も。
山 そうだね。焼いて食ったりとかできます。300度まで上がってるといいなと思いながら、それを食べつつも、その間もスクール・イン・プログレスなので、先生を捕まえて、なんなんすかね、あいつらなんなんすか、みたいな話をしてもいし、佐々さん、みたいな感じでもいいし。逆にね、参加者同士暗いところでイチャイチャしててもいいしね。
m 
山 ぎりぎりなところまでは、まっいっか。勝手にやってください。
会場 
山 勝手にやってください。
m 学校的には画期的なね。画期的な、勝手にやってくださいっていう。
山 好きにやってくださいっていう。うん。
m 僕らもそういうの言われたくないほうなんで。はい。山頂で解散するのが僕のスタイル。絶対学校じゃありえないですよね。
山 そうですね。
m 勝手に帰って、課題をやってもいいし、勝手に卒業してくださいっていうことなんですよ。
赤 質疑応答にします?
m あと5分あるんで、さらに今日共有しようと思った方々、今日来てくださった方々に何を思ったか話してもらいましょうか。
山 1期生。
m あっ、そうですよね。今日オープンキャンパスだから、
山 2期生のための。
m そうですね、それでいいですね。じゃあそれでやりましょう。はい。入りたくなったかどうかベースで。
赤 挙手をしていただけたら。
佐 今日すいか割りされた方とかどうですか。
山 そうだね。
佐 割れたんですか?
会場 欠けた。
参加者S 最終的に、ここで割られたすいかは。
佐 ミスった方と、成功した方。
会場 
m じゃあ、その順番でいきましょうか。
参加者S さっき、あの、カメラ、ビデオ回してる方にもインタビューされて、ちょっと答えたんですけど、いや、やっぱり、あの、2期生としては。
会場 
参加者S オーキャン(オーブンキャンパス)に来て、やっぱりこの人達何を学んできたんだろうなって、これのスイカ割りとかどうかな、って構えて見ちゃったんですけど、くるくる回って体験してみたら、結構、なんか、わりと考えたというのが、わりと、わりと思ってたよりも、これは、っていう(笑)。アートってなんでもいいと思ってるんですけど、わりとなんかおもしろかったなっていうのが。みんなやったらいいのに、って思いました。
山 ありがとうございます。
m かすった人でしたっけ?
佐 先ほどの方は、ミスった人です。
会場 
m ミスったゆえに思った。
参加者S そう。そう、当たってたら、あぁよかったって、終わったと思います。ミスってよかったです。
佐 何がよかったんですかね、ミスって。
m じゃあかすった方(発言をお願いします)。
参加者A かすった。うーん、どうですかね。受講生の方がいろいろ考えて、そういった風に、えーっと、スイカ割りを、まあ、ちょっと違う角度で、アートとして捉えて、考えて、まあ、体験したんですけれども。そうですね。まあ、アートというよりは、もうちょっと、あの、ぱかっと、割りたかったというのが自分の(笑)。
会場 
参加者A 申し訳なかったという風な形になりました。
佐 スイカ割りだけの話ではなく、全体の。
会場 
m いやいや、もう、そこに捉われちゃって。
山 さらにこのテンションで返したってことですから。ぱかっとなったよっていう。
参加者A そうですね。もうちょっとぱかっとしたかったなというのは、個人的にあります。
山 まあでも、棒持って目隠ししてこうプシュってしたところにスイカがある確率っていうのはね、まあ、ないですよ。360度ありますからね。
参加者A あともうちょっと、スイカが大きかったらね。
会場 
山 今日のスイカ割りのスイカは、スイカ自体が小さかった。ありがとうございます。 では小泉くん何か。
小 何を言おうか考えてたんですけど。一つはこのメンバーのアーティストさんたちが、前提としては、こう揃ってるっていうことはすごい面白いことで、一人ひとりの違い、見え方の違いとしても、山本さんの対象との距離の話や、子供とか分からないものからの可能性を見いだす話とか、それをずっとやってこられた白川さんの立ち位置や、チューターとして佐々さんや三宅さんが加わっていて、かなり面白いですよ。だから多分受講生の方々はすごく貴重な経験をされたんだろうなと思って、それすごくいいなあと思いました。まあそれは前提としてあるんですけど、一方で僕なんかはアートスクールといわゆる一般大学を大学時代から行き来してる立場なので、その立場からいうと、今はいわゆる一般大学の中にいる一員なんですけど、アートスクールっていうとヨーロッパとかだと、これはアーティストのみなさんにはいい意味で聞こえてると願いたいんですけど、こう、行くところなくなって、やることないなみたいな。だけどなんかこう、何かやりたいな、みたいな。言い方悪いけど、ちょっとこう、なんていうのかな、ちょっとこう、いわゆる社会の中で、何て言うのかな、はじかれた、っていうか、はじいて、自分達がいったような人達が(集まっている)。
m ふきだまりですよね。
小 そうですね。すみません。その言葉を今言おうか言わないでおこうか10秒ぐらい悩んでたんですけど、まあ、ふきだまりみたいなところがあります。でもそこからやっぱりおもしろいことが生まれてくる。ところが、こういう活動をここでされてるっていうことが何を意味するかっていうと、やっぱり日本の美術大学すらも、まあ、一般大学も本来は、さっきの真善美みたいな白川さんのお話にもありますけど、もともとはそういう、いろいろな、真っていうけど、ほんとに真じゃないんですよ。あの、真ってなんだろうね、みたいなこう、真なるものをみんなで言ってみれば、こうじゃないかとかああじゃないかとか、そういうふうに考えたりするような、そんなのが本来大学のルーツとしてあるはずなんですけど、今はそういう一般大学、美術大学すらも、アートスクールすらも、そのそういう制度みたいなものにすごくからめとられちゃってる。昨日、白川さんと三宅さんのやり取りの中で、アートって呼ぶべきか、呼ばないべきかみたいなことがあって、それは、白川さんのたぶん感覚の中でヨーロッパの研究所のシステム、教育のシステムを受けた人からすれば、アートって呼んじゃっていいんじゃないか。でも日本の美術っていう感覚からすると、やっぱり、それは全然違うもの、みたいな。そういう対比もあって面白いなと思ったんですけど。まあ、ようは、それはヨーロッパとかだったらアートスクールでやれるようなことすらが、美術大学、日本の美術大学とかではもうできなくなってきている。だからもう、そういうところでアーティストたちが自分達でもうやっちゃおうよ、っていう形でこういう活動が始まっているということは、やっぱり考えなきゃいけないことでもあるし、僕は大学の中にいるんですけど、大学の側も考えなきゃいけないことでしょう。もっというと、芸術大学、美術大学こそ考えないといけないものですよね。で、ほんと、日本の大学はだめだ、あの、自虐の意味だけじゃなくて、美術大学すらも結局、勤めて職を得てる人達っていうのは、まあいい先生もいるんですけど、大概はやっぱりこう最前線でやってるんじゃなくて、こう、やっぱりそこに入っていっちゃった人だったりとかそういうこともあるし。特に作家系の人たちはですよね。で、面白い人ほどそういう体制の側に入ってないっていう現状があるから、やっぱりその辺の、ちょっとこう、僕の社会、まあ社会っていうか、大学の側からすると、そういうところはやっぱり変えていくのか、あるいは大学は大学であきらめちゃって、それは社会全般の制度といえるかもしれないけど、太陽の塔じゃないけど政策芸術みたいなのを政策芸術ってあきらめちゃって、もうこっちで勝手におもしろいことやればいいっていう話なのかもしれないし。もっというと、鳥取でやらなきゃいけない、やらなきゃいけないじゃない、やってるっていうことの面白さと、なんていうのかな、東京じゃこれができない感じとか、そういうことを僕らはちょっと考えないといけないな、というのを思いました。はい。なので、あの、すごくあの、まあ、たぶん作家志望の方が少ない、そういうわけじゃないと思うんで、あえてこういうコメントをしたんですけれども、どうこれを持ち帰るかっていうことでこれを考える、僕なんかは、それは社会の、大学に限らず、その政策にしても、マスメディアにしても、まあそういういろんなものが硬直化していく中で、そういう自由度がすごく狭まっていることへのアプローチだと思うので、やっぱりすごく意味のあること、だと思いますね。はい。ありがとうございました。
先生達 ありがとうございます。
小 本当にまとめみたいになっちゃって。
山 みんな宿題のことでそわそわしてると思うんで。
m えーっ、また思いつきました(立ち上がる)。えーっとですね、ちょっと学校っぽいですよ。あの、今日のトークのタイトル何かみなさん知ってますか、みたいな。えーっと、その卒業論文の、一応フォーマットとして。あんまりスクールインプログレスはそういうのやってこなかったんですけど、今回に関してはちょっと、赤井さんからのたっての希望がありまして。ねえ、これどうすんのって、ずっとどうすんのみたいなかんじだった。これがはい(ホワイトボードに文字を書く)。はい、これなんでしたっけ。リビングメイキング_のために。_ですよね。これ。自由に使ってください。分かるよね。で、なんかあの、僕が昨日白川さんのトークを聞いていてそうそうそうそうってすごい共感させていただいた、最もヒットしたワンワードっていうか、単語が「勝手に、勝手に」って白川さんが何回もおっしゃってたんですよ。やっぱり僕はそれが気になったんで、iphoneに入ってる大林苑で「勝手」っていうのを調べたんですね。とかいうのがこう結構、卒業式の辞書には何とかっていうのがあるじゃないですか。まそれのパロディですけど。えーっ、一番気に入ったやつ(例文)に「勝手な熱を吹く」っていうのがありました。「いい気になって言いたい放題言う」という事例が、「てんでに勝手な熱を吹く」っていう例文で書いてまして、辞書って結構ああいう感じで、あそこが、勝手な熱のために吹くだったら、その部分だけ抜いててビーってなってる(_____という文字で表記されて)んですよ。それを見て今、思いついたんですけどね。それは、まあ、ヒント出しすぎちゃいましたけど、僕の付けたタイトルの「_____」です。その、タイトルからいくのもいいし、内容からタイトル決めるのもいいですけどね。最終課題に向けてみなさん、張り切っていきましょう。2期生の方には今日の感想に関して、適当に背びれ尾びれ等をつけて、のっけていただきながら感想を書いていただければ、まあ本望かなあと。こういうことを勝手にやらしていただいたわけですが、それと同じくらい響いたのが、何かオーダーをいただいたときに主催者側が勝手にやらしてくれっていうのが一番響いた、今回勝手にやらしていただきましたよね。
山 ありがたいこと。
m っていうことで。
山 (これ以上言うことは)ないです。あざーす。
会場 拍手
赤 講師のみなさま、受講生のみなさま、お集まりいただいた2期生のみなさま、どうもありがとうございました。これでスクールインプログレスの2015の全てのプログラムが終了。お疲れ様でした。ありがとうございました。



















































































































































共同ディレクター

mamoru

1977年大阪生まれ。2001年ニューヨーク市立大学音楽学部卒業。身近な物や行為から生まれる微かな音をとりあげた「日常のための練習曲」や架空の「音風景」を書きおこした「THE WAY I HEAR」など、テキスト、インスタレーション、映像、パフォーマンス等、様々なメディアを用いて「聴くこと」から知りうるオルタナティブな世界観を提示。現在、ハーグ王立芸術アカデミーのマスター・アーティステック・リサーチ在籍中。2014年3月にはHOSPITALEにて約1ヶ月の滞在を経て、「風を知るための/幾つかのパフォーマンスとそのスコア」を制作・発表した。テキストと音声による映像、レクチャー・パフォーマンス、インスタレーション作品を国内外の展示、フェスティバルにて発表。最近の展示に「他人の時間」(東京都現代美術館、2015)など。



山本高之 Takayuki Yamamoto

1974年愛知県生まれ。愛知教育大学大学院修了後、渡英、チェルシー・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインMA修了。小学校教諭としての経験から「教育」を中心テーマのひとつとし、子どものワークショップをベースとした映像作品を国内外で制作、発表している。その作品は、子どもが交わす会話や彼らの遊びに潜む創造的な感性を通じて、普段は意識されることのない制度や慣習などの特殊性や、個人と社会の関係性を描いている。主な展覧会に「アジアの亡霊」(サンフランシスコアジア美術館/アメリカ)、「シャージャ・インターナショナル・ビエンナーレ」(アラブ首長国連邦)、「Go Betweens展 子どもを通して見る世界」(2014-2015 森美術館ほか)など。近年は地域コミュニティと恊働して実施するプロジェクトに多く取り組んでいる。



チューター/レクチャラー

佐々瞬 Shun Sasa

1986年宮城県生まれ。フィクションと現実を織り交ぜた物語を、多岐にわたる表現方法で制作している。主なグループ展に「MOTアニュアル2012 Making Situations,Editing Landscapes風が吹けば桶屋が儲かる(東京都現代美術館/日本/2012)」、「Omnilogue:Your Voice is Mine(シンガポール国立大学美術館/シンガポール/2013)」など、主な個展に「催眠術/話の行方(HIGURE 17-15 cas/日本/2013)」、「とある日のこと(箱を受け取る)(Alainistheonlyone/日本/2015)」など。


三宅航太郎 Kotaro Miyake

1982年岡山県生まれ。うかぶLLC共同代表。大学を卒業後、自分と社会の入り口として営みにまつわるプロジェクトをいくつかのまちで行う。現在は鳥取に移住し、ゲストハウス・カフェ・シェアハウスの「たみ」をチームで運営。元豚小屋でのシェアアトリエ「BUTTE」の管理人でもある。



ゲスト・アーティスト

白川昌生 Yoshio Shirakawa

1948年、北九州市戸畑に生まれる。国立デュッセルドルフ美術大学卒業(マイスター)。美術作家。また、群馬県立女子大学、前橋工科大学等の講師を勤める。1993年に地域とアートをつなぐ美術活動団体「場所・群馬」を創設。主な展覧会に2007年「フィールドキャラバン計画」(群馬県立近代美術館)、2014年 「白川昌生 ダダ、ダダ、ダ 地域に生きる想像☆の力」(アーツ前橋)など。



特別講師

新家憲一郎 Kenichiro Shinka

1977年鳥取県鳥取市生まれ。セイラー/ヨット乗り。父親の影響で小学3年生より、ディンギー(小型ヨット)に乗り始める。主な戦績として、鳥取県代表として国体に出場したほか、2012年全日本トッパー級選手権優勝。2014年にはトッパー級世界選手権(於イギリス)にて過去の日本人参加者の中で最高の16位となる。1999年鳥取大学教育学部を卒業後、小学校に15年間勤務。2014年フリーとなり、小学生を対象とした私塾「新家塾」を立ち上げる。湖山池湖畔の癒空間「湖山池ベース」を運営。


市川 正 Tadashi Ichikawa

1970年大阪府吹田市生まれ。パラグライダー・インストラクター(JHF公認インストラクター)。鳥取大学工学部在学中にハンググライダー部に所属。大学生活をほとんど競技に捧げ、1995年スペインで開かれた世界選手権に、日本代表選手として出場。5年間国内シード選手を続けた後、競技を引退。小さい頃からの“空を飛びたい”夢を不思議な形で実現することができたので、同じ希望を持つ多くの人々のサポートをしている。2008年砂丘本舗を設立、2012年より鳥取砂丘での体験パラグライダースクールを開校。


小泉元宏 Motoshiro Koizumi

国際基督教大学卒。東京藝術大学修了(修士、博士)。日本学術振興会特別研究員、ロンドン芸術大学客員研究員、大阪大学特任研究員、ロンドン大学研究員を経て、現在、鳥取大学准教授、国際基督教大学講師など。専門は、アート・音楽の社会学、文化政策研究、現代文化論。





SCHOOL IN PROGRESS SEMINAR01. LIVING. MAKING. TOTTORI. 2015.

Living, Making for ___________ | リビング、メイキング ___________ために



日程 2015年8月9日(日)〜16日(日)

会場 旧横田医院(鳥取市栄町403)ほか鳥取市内各所

主催 アーティストリゾートとっとり芸術祭実行委員会 鳥取県

運営 スクール・イン・プログレス実行委員会(鳥取藝住祭2015+ホスピテイル・プロジェクト)

企画・コーディネート 赤井あずみ(キュレーター|ホスピテイル・プロジェクト/鳥取県立博物館主任学芸員)

協力 YUKA TSURUNO GALLERY

後援
鳥取県教育委員会 鳥取市 鳥取市教育委員会 倉吉市 倉吉市教育委員会 米子市 米子市教育委員会 岩美町 岩美町教育委員会 大山町 大山町教育委員会 日野町 日野町教育委員会 カナダ大使館 中海カナダ協会 新日本海新聞社 朝日新聞鳥取総局 山陰中央新報社 毎日新聞鳥取支局 読売新聞鳥取支局 産經新聞鳥取支局 日本経済新聞鳥取支局 中国新聞鳥取支局 NHK鳥取放送局 日本海テレビ BSS山陰放送 TSK山陰中央テレビ 共同通信社鳥取支局 時事通信社鳥取支局 日本海ケーブルネットワーク 中海テレビ放送

助成 平成27年度 文化庁 文化芸術による地域活性化・国際発信推進事業